【試乗】スズキ新型「スイフトスポーツ」は現代のハチロク! その軽さの恩恵とは?(写真23枚)
「軽さ+ボディ剛性の高さ」が生み出す乗り味とは?
しかし軽量なボディに力強いエンジンを搭載しただけでは、このどっしりとした走りは実現できません。ここで私が素晴らしいと感じたのは、駆動系とシャシーの見事なバックアップでした。
そのカギを握るのは、ボディ剛性の高さです。前述の通り「スイフトスポーツ」の車体は、エンジンやタイヤ、空力パーツといった専用装備を備えながらも970kgという軽さを誇ります。これは先代モデルに比べて、実に70kgも軽い数値です。
そしてスズキはこの軽量ボディに、高い剛性を与えています。
新型プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を土台として、その上屋には軽さと強度に優れる超高張力鋼板を使いながら、先代比で17%も剛性を増やしたボディが載せられました。このボディは、現行「スイフト」に初めから「スイフトスポーツ」の登場を予定して開発しており、軽さと同時に高い剛性が発揮できるように設計されています。なおかつ「スイフトスポーツ」専用の補強として、ハッチバックの弱点となるリアドア開口部上部やテールゲート開口部下側に、合計12点のスポット溶接を追加しているのです。いわばこれは、ホンダが新型「シビック」を開発するときに、「タイプR」の追加を織り込み済みとしてその車体を開発した手法と同じです。
こうした緻密な計算と努力によって新型「スイフトスポーツ」は、軽さのなかにどっしりとした乗り味を実現しました。さらにこのボディ剛性によって新型「スイフトスポーツ」はトレッドを前後で+40mm/+30mmも拡大することが可能となり、コーナリングパフォーマンスを向上。また全高をフロントで10mm低めることなどの相乗効果で、その重心高を下げることができました。
私は歴代の「スイフトスポーツ」を高く評価していますが、その重心の高さにだけは違和感を覚えていました。そしてこれは、ベースとなる「スイフト」の性格(広くて快適な車内空間の確保)を考えれば仕方のないことだと諦めていたのですが、今回はこれが見事に払拭されていたのです。
トレッドの拡大によって3ナンバーとなってしまったことは事実ですが、その取り回しに不便さは感じられず(最小回転半径は5.1mと先代より0.1mも小さいのです)、税制面でも問題はありません。むしろ排気量が下がったことで、若干安くなります。