2024年1月12日から14日まで開催された東京オートサロン2024のTOYOTA GAZOO Racingブースには多くの展示車両が並べられていましたが、事前予告なしに初公開され話題を集めたのが“「GRヤリス」の進化版”と名付けられた新型でした。

　ラリーを筆頭としたモータースポーツの世界で勝つことを目標に生み出されたGRヤリスは、名前こそコンパクトカーのヤリスのものを受け継いでいるものの、ほぼすべてが専用設計となるコンペティショナルなマシンとして知られています。

　今回の進化版はモータースポーツで使用してきた中で明るみになった部分をブラッシュアップしたものとなっており、まさに“進化版”の名に相応しいもの。

　1.6リッターの3気筒ターボエンジンは従来型でも200kW／370N・mという排気量に見合わない高出力を実現していましたが、進化版では224kW／400N・mと更なる出力アップを実現。さらにハイブーストにも耐えられるようにも進化しているそうです。

　またトランスミッションには従来の6速i-MTのほかに新開発の8速ATであるGAZOO Racing Direct Automatic Transmission（以下、GR-DAT）を設定。

　初心者やAT限定免許のユーザーでも気軽にスポーツ走行を楽しむことができるだけでなく、プロのレーシングドライバーの走行にも十分耐えうる性能を有しており、6速MTよりもさらにクロスレシオ化したギア比や、2ペダルだからこそ可能なローンチコントロールなど本格的な機能も備わっています。

　インテリアに関しては、着座位置を25ミリ下げてステアリング位置もそれに合わせて調整し、ダッシュボードの形状も一新して上端を50ミリ下げ、インターミラー取付け位置を上方にすることで前方視界を拡大し、より運転に集中できる環境を整えているのも特徴です。

　エクステリアについてはモータースポーツ使用時に万が一損傷があっても交換が容易になるように、フロントバンパーを3分割としたほか、リアスポイラーはハイマウントストップランプを別体とすることでリアスポイラーのカスタマイズ性を拡張するなど、ユーザーの声を反映した改良を実施。

　さらにモータースポーツベースのRCグレードには、メーカーオプションとしてシフトノブのほぼ真横に縦方向に引くことができるパーキングブレーキを設定し、ラリーなどパーキングブレーキを車両コントロールに使用する際の操作性を大きく向上しているのもポイントです。

　その他ではボディ剛性の向上や冷却性能を高めるクーリングパッケージの新設、細かな設定が可能なドライブモードセレクトに加えてスマホアプリで各機能をカスタマイズできるサーキットモードも新設定するなど、進化版の名に恥じない大小さまざまな改良がなされています。

　そんな改良型GRヤリスは2024年春に発売が予定されているとのこと。まだ価格などは明らかになっていませんが、手の届く価格はキープしてもらいたいところです。