「5880億円、返して…」 自賠責保険の「積立金問題」どうなった? 財務省はなぜ国交省に借金したのか
一刻も早く「約6000億円」を返済して…! それが出来ない理由とは
そのため、一刻も早く約6000億円を返済するよう求める声があがっているのです。
この問題に対し、現財務大臣である鈴木俊一氏は「(約6000億円の)一括返済を求める声があることも承知しているが、今の国の厳しい財政の中では無理な状況である」としたうえで、今後も継続的に返済していく方針を示しています。

また国土交通省のホームページでは、被害者支援や事故防止対策の財源について次のように説明しています。
「平成13年(2001年)の時点では、積立金0.9兆円を年利2%で運用し、その年間の運用益180億円弱で被害者支援や事故防止対策をおこなう想定だった」
「しかし近年の金利の大幅な低下により、積立金の運用益のみではまかなえないことが判明」
「仮に一般会計に繰り入れた残高(5939億円)が返済されたとしても、現在の金利で生じる運用益は3400万円程度で、事業費はまかなえない」
つまり財務省が約6000億円を返済できたとしても、運用益で被害者支援の事業はおこなえず、新たな賦課金制度の導入はやむを得なかったとしています。
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財務省が返済すべきお金は、2023年度末で5880億円の残高となる見込みです。
一般会計から自動車安全特別会計への繰り戻しの継続はもちろんですが、今後は交通事故の被害者が確実な支援を受けられることを第一に考えた、適切な制度づくりが求められます。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。





























