「5880億円、返して…」 自賠責保険の「積立金問題」どうなった? 財務省はなぜ国交省に借金したのか

過去に財務省が自賠責保険料を原資とした運用益は積立金1兆1200億円あまりを国の一般会計に繰り入れて財源とし、現在も約6000億円が返済されていない状態です。現在、この返済問題はどうなっているのでしょうか。

なぜ財務省はなぜ国交省に借金したのか

 自賠責保険料を原資とした運用益は積立金として国土交通省が所管し、事故の被害者支援や事故防止対策事業に充てられています。
 
 しかし過去に財務省が積立金1兆1200億円あまりを国の一般会計に繰り入れて財源とし、現在も約6000億円が返済されていない状態です。
 
 では、この返済問題はどうなっているのでしょうか。

自賠責保険料を元手に運用して出た利益は「積立金」として被害者の療養施設の運営や介護料支給といった支援のほか、事故防止対策に使われている
自賠責保険料を元手に運用して出た利益は「積立金」として被害者の療養施設の運営や介護料支給といった支援のほか、事故防止対策に使われている

 クルマやバイクを運転するすべてのユーザーには自賠責保険(共済)の加入が義務付けられています。

 自賠責保険は交通事故による被害者を救済するため、加害者が負うべき経済的な負担を補てんし、基本的な対人賠償を確保するための制度です。

 具体的には死亡やケガ・後遺障害のある被害者への保険金の支払いのほか、保険料に含まれる「賦課金」によって、ひき逃げ、無保険車との事故などによる被害者の救済をおこないます。

 また自賠責保険料を元手に運用して出た利益は、「積立金」として被害者の療養施設の運営や介護料支給といった支援のほか、事故防止対策に使われています。

 交通事故は年々減少傾向にあり、被害者への保険金の支払いも減る見込みとなったため、2023年4月から自賠責保険料が10%以上引き下げられ、自家用乗用車では保険料が年間1200円減額されました。

 その一方で、事故の被害者支援・事故防止対策に充てられる新たな「賦課金」制度が導入され、自家用乗用車を持つユーザーでは年間125円の負担となります。

 この新たな賦課金制度に対しては、一部国会議員から「自動車ユーザーに新しい負担を課すよりも、財務省が過去に自賠責保険の積立金から国の一般会計に繰り入れたお金を返済するのが先ではないか」との指摘も上がっています。

 実は1994年度と1995年度、財務省は日本のバブル崩壊による財政難を理由に、国土交通省が所管する自賠責保険の積立金から1兆1200億円を国の一般会計に繰り入れ、財源としていました。いわば、国が自賠責保険から借金をした形です。

 翌1996年度から2003年度までは一般会計から繰り戻し(返済)がおこなわれたものの、一般会計の財政状況が厳しくなり、それ以降は繰り戻しがストップしてしまいました。

 そして麻生太郎氏が財務大臣に就任していた2018年、15年ぶりに一般会計から自動車安全特別会計への繰り戻しがおこなわれました。

 それ以降毎年の返済は続いているものの、いまだ約6000億円が返済されていません。

 しかし国の一般会計からの繰り戻しは年間40~50億程度であり、このままのペースで返済を続けても120年近くかかってしまう計算です。

 さらに、事故による重度の後遺障害者や介護料受給資格者など支援を必要とする人の数が減っていないこともあり、新しい賦課金制度が導入されるまでは積立金が10年ほどで枯渇する可能性もありました。

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