なぜトラックは「合流車線」で駐停車? 違反じゃないの? 危険な場所でもドライバーが語る「やむを得ない事情」とは
大型トラックなどが「合流車線」や「付加車線」の路肩に停まっていることがありますが、これは良いのでしょうか。そこにはどのような事情があるのか複数のトラックドライバーに聞いてみました。
合流車線や付加車線に停車するトラックがとまっているのか?
高速道路と一般道が合流する「合流車線」やSA/PAから本線への「付加車線」に駐車するトラックを見かけることがあります。
危険で迷惑駐車だと感じるドライバーもいるようですが、なぜ警察は取り締まらないのでしょうか。

一般道では、違法な駐車は厳しく取り締まられており、違反点数や反則金が科されます。
警察庁交通局が公表している「駐車対策の現状」によると、2020年以降も毎年3万7000台以上の違反車両が取り締まられていました。
しかし、高速道路から一般道への合流車線やSA/PVから本線への付加車線で、トラックをはじめとする大型車が列をなして駐車している様子が見受けられることもあります。
不適切な場所での駐車は危険な行為で、過去には合流車線に駐車しているトラックが原因で死亡事故が発生しています。
2009年7月、栃木県内の国道バイバスで合流車線の路肩に停車していた大型トラックに対し、後方から進行してきた乗用車が追突しました。乗用車は大破し、乗車していた男女2人組が死亡しています。
また、2014年8月には兵庫県姫路市太市中の姫路西バイパス下り線の上太田ランプ入り口の加速車線で、駐車中の大型トラックに乗用車が衝突し、乗用車を運転していたドライバーが胸を強く打って死亡しました。
このような死亡事故も発生しているにもかかわらず、なぜ依然として合流車線に駐車するトラックが後を絶たないのでしょうか。
合流車線で駐車するトラックドライバーは仮眠や休憩をとっていることも多いと考えられます。
しかし、本来なら高層道路のSA/PA、道の駅、トラックステーションなどを仮眠および休憩場所として利用するのがふさわしいとされています。
そもそも、合流車線で駐車するのは違法ではないでしょうか。
結論を言うと、前述の合流車線や付加車線における駐車は禁止されており、れっきとした違反行為です。
トラブル発生時などを除いて駐車することは許されていません。
それでは、なぜ警察は合流車線や付加車線で駐車しているクルマを取り締まっていないのでしょうか。
その理由としては、ドライバーが乗車したまま仮眠や休憩をとっていることが関係しています。
首都圏にある警察署交通課の担当者は、トラックの停車について、次のように話します。
「合流車線に停車することは、取り締まりの対象です。
しかし、長距離トラックの場合、多くはドライバーが乗車した状態で停車していることから、緊急時に移動が可能という点が挙げられます。
本来であれば、1台ずつ取り締まることが理想的と言えるのは事実ですが、『停車』であり『駐車』ではないという観点から、取締りが行われていないと考えられます」
道路交通法によると「駐車」とは、「クルマが継続的に停止することや、ドライバーがクルマから離れて、すぐに運転できない状態での停止」と定義されています。
そのため、ドライバーが乗っている状態のクルマを「駐車」というのは難しいと考えられます。
ただし、「停車」には該当すると考えられるようです。
「停車」とは、「人の乗り降りのための停止、5分以内の荷物の積みおろしのための停止、運転者がすぐに運転できる状態での短時間の停止」と定義されているため、停車違反を問うことはできると考えられます。
しかし、現実的にはドライバーがクルマから離れていないケースでは、停車違反を見つけても注意あるいは警告で済ませていることがほとんどです。
実際のところ、ほかのドライバーから通報があれば合流車線で停車しているクルマを移動させるように注意や警告をすることもありますが、イタチごっこに過ぎず、違法停車はなくなっていません。













