なぜメーターの「針」見なくなった? いまや「自由自在のモニター」が定番に… デジタル化が進む理由とは

最近のクルマは、これまでのアナログ式メーターに代わってデジタルで速度などの情報を表示するモデルが増えています。どのような事情があるのでしょうか。

「デジタルメーター」なぜ増えた?

 古いクルマであっても最新のクルマであっても、変わらず備わっている装備のひとつがメーターです。
 
 走行中の速度や燃料の残量など、運転するうえで必要な情報が表示されるメーター類は、今後もクルマに欠かすことのできない装備として装着され続けていくことは間違いないでしょう。

メーターのデジタル化が進み高度な表示が可能になった
メーターのデジタル化が進み高度な表示が可能になった

 ただ、そのメーターも近年では液晶パネルを用いたデジタルメーターが増えてきており、上級車種などになると物理的なメーターは存在せず、すべてが液晶メーターに表示されるというものも増えてきているのです。

 ひと昔前のデジタルメーターというと、走行速度が数字で表示され、タコメーター(回転計)や燃料の残量表示などがバー式の目盛りで表現されるというものが主流でした。

 ちなみに、国産車で初めてデジタルメーターを採用したのは、1981年に登場したトヨタ初代「ソアラ」です。

 当時は斬新なメーター表示ということもあって、他メーカーでも上級車種やスポーツモデルなどに採用例が多く、今でも多くのファンを抱えるトヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86型)」にも設定されていたほど。

 ただし、アナログメーターに比べて瞬間的、直観的に数字を読み取りにくいという声や、西日などの光の当たり方によってはメーターが見にくいという意見もあり、徐々に採用車種は減少することとなります。

 その後、1990年代ごろになると、オドメーター(走行距離計)やトリップメーターに液晶を用いたデジタル式を採用する車種が増え、メーターのなかで液晶パネルの占める割合が増え始めました。

 当初の液晶パネルはメーターの中央あたりに備わり、オドメーターや燃費、外気温などを表示する程度だったのですが、単色表示からカラー表示となり、だんだんとサイズも大型化してきた背景には、クルマの多機能化も無縁ではありません。

 かなり昔のクルマではスピードと燃料、水温の3つのメーターと警告灯のみというシンプルな構成の車両も珍しくありませんでしたが、近年の車両では衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も備わるほか、アダプティブクルーズコントロールなどの運転支援系の装備も充実しつつあり、これらの情報を的確に表示させるには、液晶パネルが適任といえるからなのです。

 また、アナログメーター時代は車種によってメーターの形状やデザインはさまざまで、作り分けることが当たり前となっていましたが、液晶パネルであれば、車種によって表示させる情報を簡単に替えることができるため、数多くの車種に採用するようになれば、コストを圧縮することもできるというメリットも存在します。

 さらに近年では、液晶パネルに情報を表示する際に使用される画像処理に必要なプロセッサ(データ処理装置)の性能も大きく向上しており、表示遅れなどのデメリットも発生しにくくなってきています。

 そのため、液晶パネルに疑似的にアナログメーターを表示させるということも可能となってきたことで、「アナログメーターだと思ってたけど、よく見たら液晶パネルだった」というような車種も登場しているのです。

※ ※ ※

 大きな液晶パネルを用いたデジタルメーターにはさまざまなメリットがありますが、デメリットがまったくないわけではありません。

 というのも、すべての情報を液晶パネル上に表示させているということは、万が一液晶パネル自体にトラブルが発生してしまうとすべての情報を見ることができなくなってしまいます。

 また、いくらコストが下がったといっても、液晶パネルを丸ごと交換するとなると、その費用はバカにならないものになることは容易に想像ができるでしょう。

 一方、アナログメーターは各メーターが個別に機能しているので、その部分だけ修理することが可能(稀にメーターの基盤全体がダメなケースもありますが)。修理コストを抑えることができるというメリットが存在しています。

 そのためビジネスユースで使用される車両などは、アナログメーターと液晶パネルを組み合わせたメーターが主流となっていることが多いのです。

【画像】「えっ!」メーター真っ赤! やる気マンマンすぎるマツダの「デジタルメーター」画像を見る(31枚)

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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