今後も「MT車」は必要? 各車からMT続々廃止、新車9割はAT車も…! それでも「MT」が必要な理由

クルマには自分で操作する「マニュアルトランスミッション(MT)」というものが存在しますが、近年の新車販売比率において1%程という状況です。今後MTは無くなる運命なのでしょうか。

MT需要は減るけども…欲しい人はまだまだ健在!

 近年、日本や米国における新車販売においてAT車の販売比率は約99%と高いシェアを占めています。

 一方で現状でもMT車が設定されるクルマは一定数存在する他、電気自動車(BEV)においても新たなMTを開発するメーカーも出てきています。
 
 今後のMTはどうなっていくのでしょうか。

今後のMT車はどうなっていくの? 「このまま無くなる or 進化して残る」どっち? (画像はホンダ「シビックタイプR」)
今後のMT車はどうなっていくの? 「このまま無くなる or 進化して残る」どっち? (画像はホンダ「シビックタイプR」)

 従来のクルマにはエンジンの動力をタイヤに、速度に合わせて効率的に伝える変速機「トランスミッション」というものが備わっています。

 このトランスミッションは、一般的に「オートマチックトランスミッション(AT)」「マニュアルトランスミッション(MT)」に分類することが出来ます。

 その名の通り、ATは変速を機械が自動的に行うものなのに対して、MTはドライバー自らが手動で行います。

 そのため、技術の進化やユーザーの需要などに合わせてATの販売比率が高まっていき、前述のように売れるクルマのほとんどがAT車という状況になりました。

 売れるクルマがAT車のほうが多いということもあり、年々MT車を設定するモデルは減少傾向にありました。

 しかしながら、クルマの特性によってはATよりもMTのほうが好まれる車種もあり、「走りを楽しむ」ことが重視されるスポーティなモデルなどに継続して設定されています。

 その一方でフォルクスワーゲンは、今後の環境規制に対応するひとつの手段としてMTを廃止していくとアナウンスしており、最近では同社の「スポーツモデルからもMTを無くす方針」とも報道されています。

 また、環境規制などにより今後販売シェアが増加することが予想されるBEVにおいては、様々な理由から「MTが採用される可能性はほとんどない」とも言われていました。

 では、今後のMTはどうなっていくのでしょうか。

 現在、日本市場でのMTラインナップは、前述のスポーツモデルや商用モデルなどがほとんどです。

 実際にMTを購入するユーザーについて複数の国産メーカーの販売店は次のように話しています。

「現在、MTを検討されるお客様の多くはいわゆるスポーツモデルを購入されるお客様がほとんどで『走りを楽しみたい』という理由が多いです。逆に『MTに慣れていない』『日常使いでは面倒』という理由から避けられる人もいます」(国産メーカーAの販売店)

「いくつかのモデルにMTが設定されていますが、検討理由の中には昔から『MTに慣れている』という理由を挙げられる高齢層もいます。また最近では若年層で『MT車に乗りたい』という理由で選ばれることも見かけられます」(国産メーカーBの販売店)

 このようにMT車を選ぶ理由としては、「慣れて親しんでいるから」と「趣味のひとつ」といった両面を持ち合わせていることが分かります。

一部の趣味性が高いモデルでは継続されるが…その先は?(画像は日産「フェアレディZ」)
一部の趣味性が高いモデルでは継続されるが…その先は?(画像は日産「フェアレディZ」)

 こうした背景を踏まえて今後のMTはどうなっていくのでしょうか。とある自動車メーカーの担当者は次のように話しています。

「現在はまだ少ないといえどもMT車の需要は存在しています。

 そのため、ある程度は残り続けると思いますが、その数は減っていくでしょう。

 しかし今後、電動化・自動化が進んでいくにつれて、コストをかけてMTを残す理由が減っているのも事実です。

 最終的には限りなく趣味性が高いモデルに残るという感じになると思われます」

 また別の自動車メーカーの担当者は次のように話しています。

「MTがどこまで残るかは予想しづらいですが『走る楽しさ』という側面ではスポーツATと言われるようなものも存在するため、モデルチェンジでMTが無くなったモデルも多々あります。

 そうしたことを考えると、やはり母数は減っていくのではないでしょうか」

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