今後も「MT車」は必要? 各車からMT続々廃止、新車9割はAT車も…! それでも「MT」が必要な理由
今後MTは無くなるの? トヨタが提案する2つの「MT」とは
前述のように世界的には従来のようなMTが減っていくことが予想され、なかにはMTの設定が廃止されるモデルも出てきています。
そのため最終的には「MTが無くなる」ことも考えられますが、トヨタは昨今2つのMT技術を発表しています。
ひとつは、2022年12月にレクサスの欧州法人がブリュッセル(ベルギー)で開催されたメディアフォーラムにて発表されたものです。
これはボタンひとつでAT/MTを切り替えられるもので、このMTは電気信号により擬似的に再現されたものとなります。
このモデルは2023年6月に行われた「Toyota Technical Workshop 2023」で実車がお披露目されています。
実際には従来のMT仕様のようにクラッチペダルとシフトレバーを操作することで、擬似的なMT操作を体感することが可能です。
例えば、シフトレバーを1速に入れ、クラッチペダルを半クラ状態にし、アクセルペダルを踏み込んでいくと、従来のMT車のような振動が感じられます。
また1速に入っている状態でクラッチペダルを離すとエンストが体験出来るなど、細かな部分まで忠実に再現されていました。
このBEV MTとも言える技術についてトヨタの担当者は「BEVの時代になっても『運転する楽しさ』を提供するために開発を進めているもの」と説明しています。

もうひとつのMTは、既存の機械的なMTをそのまま活かした技術です。
それは、2023年1月の「東京オートサロン2023」にお披露目された「AE86 BEV Concept(電気じどう車)」です。
AE86 BEVは、ベース車の軽さ、前後の重量バランスを極力維持しながら、BEVの特徴を活かして「従来以上の走りの楽しさを感じられる」というテーマで開発されました。
仕様としてはモーターと電池を搭載していることと、マウント類の加工以外は純正から変更はありません。
また、トランスミッションは「GR86」に搭載される6速MTを採用していると言います。
そのため、モーターを搭載するために降ろされたエンジン(4A-GE)は再度搭載することも可能だと言います。
元々このAE86 BEVは「保有車のカーボンニュートラル」に対する提案として開発が進められており、今後エンジン車に乗りづらい時代になっても「愛車に乗り続ける」ひとつの手段としてBEVコンバージョンの可能性を検討しているようです。
※ ※ ※
前述の通り、MTは効率を考えれば無くなっていく運命にあるように思えます。
しかしながら、いくつかの自動車メーカーでは「運転の楽しさ」、「走る楽しさ」といった“自動車メーカーだから残すべき価値”のひとつとしてMTは重要な存在だと認識していることも事実です。
今後様々な規制が強化されていく中でMTがどのような形で生き残っていくのかそれとも消滅してしまうのか、今後の動向に注目です。
Writer: くるまのニュース編集部
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