マツダ新型「ロードスター」“今秋”登場? “NE”はEVとなるか!? 歴代開発者が語る「未来のロードスター」とは
「ロードスターの未来」とは
齋藤主査は「ロードスター主査になって今年で4年目、自身で企画した990Sをやっと買いました。私にとってロードスターはまさに、相棒ですね」と笑顔を見せました。
その上で「(初代NA主査の)平井さんがロードスターに込めた想い、いわゆる『ロードスター憲法』がある。
ライトウエイトであること、前後重量配分50:50など、これらを守りながら、これからもずっと続いていって欲しい。欲張らず、シンプルであることが大事」と、ロードスターへの本音を話してくれました。
また、現在はマツダのデザイン本部長でNDのデザインを手がけ、かつ主査も経験した中山雅氏は、「これはNEか?」とも言われた前述の「中期経営計画のアップデートと2030年に向けた経営の基本方針」で公開された「ビジョンスタディモデル」を引き合いに出しました。
「あのクルマは、まずはマツダ社内、そしてファンの間で次期ロードスターに向けた機運を盛り上げたいという想いがありました」と、NEに向けた想いを語りました。
その上で「そもそも、ロードスターは”エンジンありき”のクルマではないはず。仮に(マイルドハイブリッド等で)内燃機関にこだわって、補器類が増えてフロントヘビーになってしまっては元も子もありません。
ならば、モーター駆動のEVとし、バッテリーも航続距離をある程度決めれば重量が重くなり過ぎることもなく、重量配分50:50も可能。充電を早める技術などを使えばEVとしてのNEの整合性はあるのではないでしょうか」とかなり踏み込んだ形のコメントです。
そして、NBとNCの主査である、貴島氏は「ロードスターの目的は、人と人を結ぶメディア(媒体)。皆が幸せになるための、メディアなのです。
だから、(将来的に仮に)エンジンからモーターにハードウエアが変わろうが、ロードスターの目的は変わらないし、変わってはいけないと思います」と、NAを含めて長年に渡りロードスターにかかわってきたひとりとしての素直な気持ちを語ってくれました。
さらに「人は、動物として、気持ちよくどう動きたいかという感覚は将来も変わらない。だが、ロードスターは物理的に重量配分50:50という理論を重視した、ロードスターの本質を十分踏まえた進化が重要です」と言い切ります。
今回、筆者は「軽井沢ミーティング2023」取材を、同社の開発研究機関のひとつであるマツダR&Dセンター横浜(横浜市)から、ロードスター 990Sで往復したのですが、齋藤主査や歴代主査の皆さんの「ロードスターの未来」の込めた想いが、990Sで走りながら「私事」として実感できました。
仮に、NEがEVだったとしても、ロードスターの本質は永遠に不滅なのだと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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