日産「R35型 GT-R」存続できる? 新マフラー搭載で「騒音規制」クリア! 次に待ち受ける難しい課題とは

日産「GT-R」は新構造のマフラーを開発することで騒音規制をクリアし、2024年モデルの販売が実現しました。さまざまな規制が強化されるなか、次にクリアしなくてはいけない課題があるといいます。

2025年12月に迫る「衝突被害軽減ブレーキ義務化」問題

 2023年1月に開催された東京オートサロン2023で日産が世界初公開した「GT-R 2024年モデル」が、2023年4月下旬に発売されます(NISMOシリーズは同年夏の発売)。
 
 日本では2021年に登場した「2022年モデル」を最後に音沙汰がなかったことから、一時は「GT-Rが販売終了になるのでは?」というウワサもありましたが、見事に存続決定となりました。

新マフラーを搭載した日産「GT-R 2024年モデル」
新マフラーを搭載した日産「GT-R 2024年モデル」

 現行モデルのGT-Rは2007年12月に登場。すでにデビューから15年以上が経過していますが、常にアップデートを続けており、今でも一線級のポテンシャルを持ったスーパースポーツであることは揺るぎない事実でしょう。

 そんなGT-Rは、年々厳しさを増す騒音規制などが影響したことで2023年モデルを国内でリリースすることができず(海外では販売)、今回の改良で走行時の不要なノイズと振動を低減する新車外騒音規制対応のマフラーを新たに開発したことで2024年モデルを販売するに至ったということになります。

 ただし、生産台数に限りがあることがアナウンスされており、早くも争奪戦となる模様。もし今回2024年モデルが購入できなかった場合は2025年モデル以降に望みを託すことになるわけですが、この後にもさまざまな基準がさらに強化されることが決まっています。

 そのなかでもGT-Rに直接影響を及ぼしそうなものが「衝突被害軽減ブレーキの義務化」でしょう。

 衝突被害軽減ブレーキは、衝突の危険が迫っている状態でも運転者がブレーキ操作をしない場合、車両側がブレーキをかけて衝突を回避、もしくは衝突時の被害を軽減してくれるというものです。

 すでに国産車の新型モデルについては2021年11月から(輸入車は2024年7月から)装着が義務付けられており、このタイミング以降に登場した新型車はすべて衝突被害軽減ブレーキが標準装備となっているのです。

 一方、それ以前に登場して現在も継続販売が続けられているモデルに関しては、2025年12月以降に装着が義務化されることになっており(軽トラックは2027年9月以降)、現在衝突被害軽減ブレーキが装備されていない車種も、継続販売する場合は装着しなければならないということになります。

 現状、GT-Rにはこれから登場する2024年モデルを含め、衝突被害軽減ブレーキは装着されておらず、このままでは2025年12月以降の販売が不可能となることは間違いありません。

 また一口に衝突被害軽減ブレーキといっても、単に緊急時に自動的にブレーキがかかれば良いというものではなく、静止車両に対して40km/hで接近した際に衝突しないことや、5km/hのスピードで道路を横断する歩行者に対して30km/hで接近した際に衝突しないことなど細かな要件が設定されています。

 これをクリアしていないものは衝突被害軽減ブレーキとみなされず、装着さえしていれば良いというわけではないのもポイントといえるでしょう。

 GT-Rに関しては日産から衝突被害軽減ブレーキ採用についてのアナウンスはありませんが、2022年にモデルチェンジした「フェアレディZ」(7代目)は、それまで装着されていなかった衝突被害軽減ブレーキの「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」を新たに搭載して登場しました。

 6代目の先代フェアレディZはGT-Rと近いタイミングの2008年に登場しており、そもそも現行モデルのプラットフォームは先代からのキャリーオーバーであることを考えると、GT-Rに衝突被害軽減ブレーキを装着することも不可能ではないといえるでしょう。

 ただ、GT-Rのサイトにも「GT-Rの集大成」という文字が並んでいることから考えても、現行型のGT-Rが衝突被害軽減ブレーキ義務化のタイミングまで継続生産される可能性は低いと考えます。

 とはいえGT-Rの名前がここで途切れるとも考えづらく、欧州でエンジン車の継続販売が容認されるというニュースも飛び込んできたこともあり、今後も進化したGT-Rの姿を拝めることに期待したいと思います。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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