CVTとは「ベツモノ」!? 欧州で主流の「DCT」日本車で普及しなかったのはなぜ? 渋滞の山道で不都合が生じた例も

「DCT」特有のダイレクト感は諸刃の剣だった!?

 欧州に在住する筆者(自動車ライター 河馬 兎)の友人によると、現地におけるCVTの評価は次の通りだと話します。

「トルコン(※)を介して動作するCVT車やAT車特有の、走りはじめにミッションが滑っているかのようなドライブ感覚は効率が悪く感じるためか、敬遠される傾向にあります」

(※編集部注記:トルクコンバーターとは、オイルの流れを利用し、エンジンの駆動力をトランスミッションに伝える「液体伝達機構」のこと)

紅葉シーズンのピークで大渋滞となった日光・いろは坂(栃木県)[画像はイメージです(Photo:Adobe Stock)]
紅葉シーズンのピークで大渋滞となった日光・いろは坂(栃木県)[画像はイメージです(Photo:Adobe Stock)]

 実際には、ATがトルコンで滑らせているのはスタート時だけです。車速が上がると早めにロックアップする(トルコンを介さずダイレクトにエンジン動力を伝える)ので、実際の燃費自体は良いのですが、そのフィーリングが嫌われているようです。

 そのためか欧州では、コンパクトカーの半分以上がMT車で販売されてきました。

 とはいえ、欧州市場でも自動変速装置を求める声は強く、そこに登場したDCTが好意的に受け止められました。

 そこで欧州メーカーを中心として、2000年代初頭より一気に普及が始まり、現在は欧州のコンパクトカーの多くがDCTを採用しています。

 これらはもちろん日本でも販売されていますが、シンプルかつ廉価で、よりダイレクトな感覚を得られる「乾式クラッチ」(ホンダ小型車用のi-DCDもこのタイプ)ではなく、オイルを循環させた「湿式クラッチ」を採用することで、耐熱性能を含む耐久性と信頼性を確保したものが主流となっています。

 それでもDCTに関するトラブルは少なくないようです。

 クルマ用のDCTは今後も日本市場へ完全に適合させるのは難しく、特に国内においては今後もこのままの姿で、静かに役目を終えていくように筆者は考えます。

 とはいえDCTならではのレスポンスとダイレクトな加速感は、クルマ好きにとっては魅力的です。

 今ホンダでは、DCTを2輪車で普及を進めようとしており、世界市場で好評なモデルに積極的にDCTを採用し「乗って楽しい」というバイクの原点を追求しようとしています。

 世界中のユーザーからは、「乗りやすい」「自分で操作をするよりも絶対に速い」「シフトチェンジ時のショックは感じるがとてもスムーズ」「タンデム走行で良い(ヘルメットが当たらない)」「左足を使わないので楽」と、高評価も得ています。

 DCTは今後「走りの味わい」など「趣味性」を重視するバイクで、活躍していくことでしょう。

【画像】ホンダ車で普及した「DCT」はどんな仕組み!? 写真で見る(42枚)

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Writer: くるまのニュースライター 河馬 兎

お金と法律に関する複数の資格をもつWEBライター。好きな言葉は「お風呂」と「ハイボール」

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