スタッドレスに「タイヤワックス」使用NG! 塗りすぎでタイヤが劣化する!? 正しい使い方とは
タイヤワックスの正しい使い方は?
では、タイヤワックスはどのように塗るのが正しいでしょうか。
「皆さん、やはりタイヤを黒々させたいがために、かなり広範囲に塗る人が多い印象です。確かにタイヤにツヤや光沢があるときれいに見えますが、塗って良い箇所だけでなく、塗ってはいけない箇所にまで使っていることが多いです」(H整備士)
「タイヤワックスを使用できるのは、サイドウォール(側面)程度にしておくという意識が大切です。路面と接するトレッド面にも塗布したくなるでしょうが、光沢やツヤと引き換えにグリップ力が失われてしまい非常に危険です。
また、痛みやすいショルダー部分にも塗りたくなる気持ちはわかりますが、この箇所もグリップに関与する箇所なだけに、できれば塗布は避けたいところです」(H整備士)

ちなみに市販されているタイヤワックスには、スプレー式、乳液タイプ、固形などがありますが、使いやすいのはスプレー式。ただし必要以上の広範囲にスプレーが飛び散ってしまうため、ムラなく均一に塗布するのは意外に難しいそうです。
またボディやホイールに飛び散ってしまったワックスを早めに拭き取らないと、シミの原因になってしまうこともあります。
「余分な部分を拭き取ったクロスでホイールなどを磨く人もいますが、これもできればやめたほうが良いでしょう。ホイールにシミができたり、変色する恐れもあります」(H整備士)
タイヤワックスがついたクロスをついでに使うなら、ホイール本体ではなくホイールハウスの内側に使用したほうがいいとH整備士はいいます。
「タイヤだけでなく、ホイールハウス内もしっかり洗浄することも大事です。ホイールハウスは手が届きにくいので洗車し忘れしやすい箇所ですが、ここに付着した汚れを落としておくとクルマがより一層引き締まって見えます」(H整備士)
またH整備士によると、スタッドレスタイヤにはタイヤワックスの使用はNGとのこと。
「冬に使用するスタッドレスタイヤはノーマルタイヤと比べても柔らかいコンパウンドを使用しています。つまり外的要因で痛みやすいのです。
加えて、ただでさえ摩擦係数が下がった路面を走行するのですから、グリップ力を損なうようなワックスの使用は控えたほうが良いでしょう」(H整備士)
それよりもワックス使用前にホイールハウスも含めてしっかり洗浄しておくこと、拭き取りが必要なタイヤワックスは、乾き切る前に余剰分を拭き取ることも重要だそうです。
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タイヤワックスは美観を保つだけでなく、使い方によってはタイヤを汚れや紫外線から守ってくれる役目も果たしてくれますが、万能ではありません。
またタイヤは必ず交換する消耗品だと認識し、たとえ見た目はきれいに保てても、距離や経年など一定期間を走行したら新品に交換することで見た目だけでなく安全性も確保できるでしょう。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。











