スタッドレスに「タイヤワックス」使用NG! 塗りすぎでタイヤが劣化する!? 正しい使い方とは
タイヤを黒光りさせるためにワックスを多用する人がいますが、使いすぎると逆にタイヤの劣化を早めたりヒビ割れを誘発する恐れがあります。タイヤワックスの正しい使い方とはどのようなものなのでしょうか。
ツヤや光沢を甦らせる「タイヤワックス」の使い過ぎに注意!
タイヤには主成分であるゴムのなかに油分が含まれており、この油分によって新品のタイヤはツヤがあります。そして、この油分が経年や洗車などで徐々に失われることで、ゴムが白っぽくなる劣化が進むのですが、それをカバーする目的で「タイヤワックス」を使用することがあります。
しかしタイヤワックスを使いすぎると、逆にタイヤの劣化を進めたり、ヒビ割れの原因になることがあるのです。タイヤを美しくするつもりが、逆にタイヤを傷めてしまっているというのですが、一体どういうことなのでしょうか。
タイヤワックスの目的はタイヤの見栄えを良くすることです。白っぽくなったタイヤに塗るだけでツヤや光沢を得られるとあって、愛用している人も多いでしょう。
では、なぜタイヤは経年で白っぽくなってしまうのでしょうか。その理由を神奈川県の整備士 H氏に聞いてみました。
「タイヤの主成分であるゴムのなかには油性の『劣化防止剤』が配合されており、走行して摩耗することで内側の『劣化防止剤』が少しずつ出てくることによってヒビ割れなどの防止効果が期待できるように設計されています。
しかし洗車や直射日光、経年などによって内部の油分が先に溶け出してしまい、ツヤや光沢が失われてしまうのです。
実はタイヤは使用しない状態、つまりほとんど乗っていない状態が、もっとも劣化しやすいともいえます」
そんなときタイヤワックスを正しく使えば色褪せやヒビ割れの抑制効果も期待でき、黒光りするタイヤに仕立てることもできますが、新品タイヤのようなツヤと光沢を求めるあまり使いすぎないように注意する必要があるといいます。
「タイヤワックスは大きく分類すると『油性』と『水性』があるのですが、『油性』のタイヤワックスを使いすぎると、内側の『劣化防止剤』が化学反応で早く滲み出てしまうのです。
結果としてツヤを出すはずがツヤを早く失ってしまい、ゴムの硬化やヒビ割れを起こしやすくなってしまいます。そのため使いすぎには注意が必要なのです」(H整備士)
タイヤワックスには大きく2種類あるというのは、意外に知られていない情報かもしれません。しかも使いすぎによる劣化は主に油性のもので起こる症状なのだとか。だからといって油性のタイヤワックスそのものが悪いわけではなく、使い方を誤ると良くないということです。
油性のタイヤワックスと水性のタイヤワックスにはどんな違いがあるのでしょうか。
油性は、石油を原料とした親油性溶剤(石油系溶剤)に親油性のあるシリコンを溶かしたもので、深いツヤと光沢が得られ、さらに油性ならではの水はけの良さが特徴。汚れを強く弾く防汚効果が期待できるうえに、その効果が比較的長期間続きます。
ただし先述したように、タイヤのゴム内に練り込まれた劣化防止剤を早く染み出させてしまう傾向があります。
一方で水性は、シリコンを水のなかで乳化分散させたもの。シリコン自体は油性なので完全に溶けたわけではなく、水中に小さく分裂し浮いている状態です。
こちらはシリコンがタイヤ表面に膜を形成し防汚効果が期待でき、ツヤや光沢も得られます。ただし、水性のため雨などでワックス効果が落ちやすく、長持ちしないのがデメリット。効果を持続させるためには定期的な塗布が必要になります。
水性のほうがタイヤに優しいのは間違いないところですが、高い防汚効果や深いツヤなどが欲しい人は油性を使うのもアリでしょう。逆にタイヤには優しいけれど効果が持続しない水性は定期的に洗車する人にはお勧めといえます。
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