いま「中古車」を買う人は何を求める? 人気車の共通点は? 「安さより早納車」を求めるユーザーニーズとは
中古車を選ぶメリット、いまは「安さ」よりも「早さ」に
新車の長納期化により、中古車販売店に訪れるユーザーの傾向にも変化が見られるようです。
前出とは別の首都圏の中古車販売店のC氏は次のように話します。
「これまでは、中古車を選ぶ人のほとんどが『新車で購入することができないモデルを求める』か『新車を購入する予算がない』という人でした。
しかし、現在では『新車より早く手に入るから』という人が増えています」
すでに絶版となった旧車を求める愛好家を別にすれば、中古車を選ぶ第一の理由は、その価格の安さにあるというのがこれまでの常識でした。
実際、100万円以内で購入できる新車は数えるほどしかありませんが、中古車であれば、さまざまなモデルを選ぶことができるほか、状態を別にすれば、30万円以下で購入できる個体もあります。
続けてB氏は、「早納車」を望む人について次のように続けます。
「『新車より早く手に入るから』という理由で中古車を選ぶ人は、コストを最優先しない傾向があります。むしろ、できるだけ新車に近い高年式の状態の良い個体を選ぶ傾向があります。
クルマを早く手に入れなければならない事情はお客さまによってさまざまですが、子様の送迎や仕事で必要という場合には、予算よりも納期のほうが優先という場合も少なくありません。
高年式のものであれば、機能や装備も必要十分であり、故障のリスクも高くありません。
また、日常使いで用いられることがほとんどであるため、目で見てわかる傷や汚れがない限りは『中古車である』という点を気にされる人も少ないようです」
一方、現在の中古車相場に対して不満を感じるユーザーも一部にはいるようです。
「『中古車=安い』という従来のイメージを持たれている人のなかには、現状の中古車相場に驚かれる人もいらっしゃいます。
私どもとしても、現在の相場はかなりの異常事態であるとは考えていますが、そもそも中古車価格は、仕入れ費用に一定の手数料を加えるなどして機械的に決まることがほとんどなので、流通量の多いモデルであれば、意図的に価格を釣り上げるようなことはまず不可能です。
新車の納期が長期化している昨今では『早く手に入る』ということは付加価値としては十分です。中古車を検討される人には、そのことを理解いただきたいと考えています」
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トヨタ「アルファード」や「カローラクロス」などの一部のモデルでは、中古車価格が新車価格を上回るという異常事態が発生しています。
限定生産の希少車などであれば、そもそも中古車市場への流通量が少ないため、売り手の付けた価格が「相場」となることはあります。
しかし、アルファードやカローラクロスはあくまでも量産車であり、本来であればプレミア価格が付くようなことは考えにくいモデルです。
一方、流通量が多いモデルに関しては、需要と供給のバランスによって相場価格が決定されるという、いわゆる「神の見えざる手」が働きます。
その場合、相場価格を超えた価格設定をしてしまうと、単純に割高になってしまい売れる可能性は限りなく低くなってしまいます。
つまり、恣意的な「ボッタクリ価格」は付けにくいということになり、現在の価格はあくまで需要と供給のバランスにもとづく「適正価格」ということになります。
このように考えると、現在中古車を選ぶメリットは「価格が安いこと」よりも「早く手に入ること」にあるというように、これまでの考え方を変える必要がありそうです。
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