レクサスの「高級SUV」に驚愕!? 「大人の余裕&気持ちいい」を両立! 今冬発売の新型「RX」を最速試乗してみた!

レクサスが目指す「新型RXの味」は? Fスポーツパフォーマンスは別格?

 NXはデジタル開発に挑戦したものの、やはり最後は走り込みのトライ&エラーでクルマを育ててきました。

 それが故に対処療法的な部分もあったと聞きます。RXではそれらをデジタル開発にシッカリとフィードバックさせ、より理想の基本素性ができたということでしょう。

 しかし、新型RXはそれ表に声高らかに主張するではなく、走りは良くて当たり前でその先を目指しているような感じがしました。恐らく、それは「大人の余裕」であり、そこにRX独自の「味」があると考えています。

 では、その味とは何なのか。

 筆者は「ゆとり」、「重厚」、「優しい」だと考えます。実はこの要素は歴代RXで掲げられていたキーワードでしたが、当時は基本性能が伴わなっていなかったので、逆に“逃げ”の言葉に聞こえていました。

 しかし、新型は基本性能の向上で対話ができるクルマになったうえで、個性としてこれらが表現できるようになったのではないでしょうか。

 その結果、決して飛ばさなくてもクルマの良さが実感しやすい走りを生んだのかなと。

 でも、元気に走らせるとシッカリと答えてくれる実力もシッカリと持っている、それが新型RXです。

 ただ、RX500h Fスポーツパフォーマンスだけは別格です。FスポーツパフォーマンスはFスポーツの上位に位置する新グレードで、2.4Lターボ+DIRECT4のパワートレインに加えて、専用サスペンション(リニアソレノイドAVS)、後輪操舵角が拡大(最大4度)されたDRS(ダイレクト・リア・ステア)、21インチ専用タイヤ、6ピストン対向キャリパー、なども採用されています。

 実際に走らせると「これはあの大きなRXなのか?」というくらい、クルマが小さく・軽く感じます。

 そのときの姿勢変化は最小限でコーナーの曲率に合わせて4つのタイヤのグリップ力が最適になるようにコントロールして旋回しているような感じで、とにかくアンダーステア知らずです。

 この辺りはDIRECT4による駆動力制御とDRSの相乗効果だと思いますが、制御モノにありがちな「機械に曲げられている」感覚はなく、まるで「運転が上手くなった?」と錯覚するようなコントロール性と自在性が素晴らしいです。

 今回、RXには似合わない道幅が狭く厳しいRが連続したワインディングを走らせましたが、そんなシーンでも「気持ちいい!!」、「Uターンしてもう一度走ろう!!」という気になりました。

 ただ、ゆっくり走っていると乗り心地はわずかに引き締められていますが、ほかのRXと同じ印象です。

 そういう意味では、普段はRXらしくゆったり走れるけど、ひとたびアクセルを踏むと「おーっ、これこれ!!」とスポーツカー好きなら心躍る感覚を兼ね備える、一粒で二度おいしいグレードかもしれません。

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 一度RXを壊したことで、逆に「RXらしさ」はより色濃くなったと感じています。

 その結果、単にサイズの大小ではなく「NXの兄貴分」にふさわしいプレステージ性を備えた1台に成長できたのではないでしょうか。

豊田章男社長はレクサスについて「本物を知る人が最後に選ぶブランド」と語っていますが、それは「味の濃さではなく、味わい深さ」、「ホッとする」、「ジワーっと染み渡る」、「飽きのこない」といったお出汁のようなクルマを意味しているような気がしています。

 これこそが、日本のプレミアムブランドらしい本質であり、おもてなしかなと。

 正直にいうと、「最近のレクサスはGRになりたいのかな?」と不安になることもありましたが、今回新型RXに乗ってみて「レクサスが進むべき道が、明確に定まったな」と感じました。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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