ダイハツは2022年9月6日、軽トラックを用いて小売業者の移動販売参入を支援する新サービス「Nibako（ニバコ）」を開始しました。

　全国の販売会社を通じて事業者に、軽トラック「ハイゼットトラック」と荷箱をセットで貸し出します。

　荷箱は軽トラの荷台に載せるタイプのものです。一人でも簡単に移動販売の店の形に設営することが可能。車両左側の扉はよく目立つように、上へ大きく開くガルウィング仕様を採用しています。

　商品の陳列に便利なアルミ製ラックやスライド式パーテーションウォール、専用の固定具などもセットで貸し出します。小物や衣料品、野菜・菓子・生花などの物販を想定しています。

　レンタル料金（メーカー希望貸し出し価格、税込）は、軽トラックと荷箱などがセットで1日1万3200円から、もしくは1か月6万6000円です。

　また、レンタルと並行して、ウェブサービスも展開。事業者には出店できる場所の情報や事業者同士のコミュニケーションサービス、消費者には出店情報などが提供されます。そして販売会社では、移動販売の事業相談も受け付けるようにします。

　2022年度は「事業導入トライアル期」とし、東京・埼玉・千葉・京都の4都府県で、計150台を目標にスタート。2023年度は1000台、2024年度は2000台、2025年度は3500台に増やしていくことを目標にしています。

　6日に開催された報道機関向けオンライン発表イベントでダイハツの奥平総一郎社長は、Nibakoを始めるに至った経緯について次のように説明しています。

「コロナ禍前から移動販売の需要増が聞かれるようになっており、新規事業として着目していました。

（軽トラックのシェアトップである）ダイハツが、日本の暮らしを支える軽トラックユーザーの皆さまに向けて、軽トラックの使い方を広げる事業をやるしかないと考え、2月にバーチャルカンパニーを作り、取り組みを進めてきました。

『モノづくり』と『コトづくり』の両輪で、ブランドの価値を高めていきたいと思います」

　同社の武田裕介取締役はこのNibakoについて「2024年度に黒字化し、2025年度に収益が安定化するように取り組んでいきたいと考えています。『儲ける』というよりも黒字化、安定化の早期実現を目指していきたい」と今後の展望を明かしています。

　ちなみに移動販売といえば車内で調理できるキッチンカーも挙げられますが、これについて武田取締役は「いろんなニーズは考えたい」としつつ、「法令上の制約や給排水タンクなど積載量のハードルなどを考えると難しい面があります。Nibakoはオールインワンがコンセプトなので、開始時点ではキッチンカーはなしとしています」と説明。

　また、荷台に載せる荷箱は、現時点では軽トラとセットでのレンタルとなりますが、すでに軽トラを所有している事業者のニーズを踏まえ、今後は荷箱単体のレンタルも検討していくとしています。