豪雨で「車内から出られない!」道路冠水による“車両水没”の危険性 ドアが開かない時の脱出方法は?
近年は局地的な豪雨が多発しています。道路が冠水し車内に閉じ込められた際は、どうやって脱出すれば良いのでしょうか。
豪雨で「出られない!」そんな時の脱出方法は?
最近は記録的な大雨により、道路などが広範囲に水に浸かる「冠水」が多発しており、ニュースでも度々報じられています。
冠水している道路にクルマが進入すると車内から出られず閉じ込められてしまう場合も発生します。では、脱出するにはどういった方法があるのでしょうか。
JAF(日本自動車連盟)は2014年に、アンダーパスの冠水路にクルマが進入し停止してしまったことを想定し、後輪が浮いている状態と完全に水没した状態で、セダンの運転席ドアとミニバンの後席スライドドアが開くかどうかを、水深を変えながら検証しました。
その結果、後輪が浮いている状態では、車外の水位が高いため外から強い水圧がかかり、セダンは水深60cm、90cm、120cm、ミニバンは90cm、120cmすべての状態でドアが開けられませんでした。
完全に水没した状態では車内外の水位差が小さくなり、水の抵抗で重さはあるものの、セダンは水深30cm、60cm、90cm、120cmすべての場合でドアを開けることができました。ただ60cmの場合は、開けるのに24秒ほどかかりました。
またミニバンは、水深30cmではすぐに開けられたものの、60cmは55秒、90cmは58秒、120cmは40秒とそれぞれ時間を要した結果となりました。
このように冠水した道路で車内に閉じ込められると、車両から脱出することが困難になることがあるので気をつけなければいけません。
では、車内に閉じ込められた時は、どのように脱出すると良いのでしょうか。
浸水時は、前方にエンジンがあるクルマは重い前から沈んでいくため、落ち着いてシートベルトを外し、脱出に備えます。
窓ガラスが水面より高い位置にある場合は窓を開けて脱出し、クルマの屋根に上ります。
水位が窓ガラスよりすでに高い場合は、窓を割って脱出するしかありません。ではどういった道具が最適なのでしょうか。
JAFの上記のテストでは、車内にありそうなもの5点と脱出用ハンマー3点の8点で、脱出方法を検証しています。
車内にありそうなものとしては、ヘッドレスト、小銭を入れたビニール袋、スマートフォン、ビニール傘、クルマのキーが使われましたが、いずれも窓を割ることはできませんでした。
脱出用ハンマーのポンチタイプ、金槌タイプ、小型ポンチタイプは、窓を割ることができました。ただし、フロントガラスはフィルムが入っているため、脱出用ハンマーでも割ることはできませんでした。
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今回のテスト結果を受け、JAFは次のように呼びかけています。
「JAFでは、大雨の中、冠水路で車が止まってしまった場合、水かさが急激に増えて水没車両から脱出することが困難になることもあるので、安易に冠水路に入らないように呼びかけています。
また、万が一、車両が水没した場合、ドアや窓が開かない状況に備えて脱出用ハンマーを車内の手の届くところに常備しておくことが大切です」
普段通る場所は風景を記憶しているので冠水しても水深は感覚で分かります。水深が10cm以上だとエンジンに水が掛かって止まるかもしれないので基本的に適当な場所に退避して水が引くのを待ちます。あと、よく通る道路で過去に冠水した場所は全て知っているので、大雨やゲリラ豪雨の場合は遠回りしてでも経路から外します。
水没してから考える前に、冠水した道路を走ることをやめたほうが良いのでは。わざわざ廃車のリスクや高い修理費を払う覚悟で冠水した道路を走るのはやめましょう。立ち往生すると水が引いた後にレッカー移動の手間もありますし、保険屋のロードサービスやJAFに入ってないと車の修理代も含めて経済的に痛いですよ。