なぜ「タイヤ」が浮いている? 見る機会多い「浮かせて走るトラック」 「リフトアクスル」が普及する背景とは

たまにタイヤが浮いてるトラックやトレーラーを見かけることがあります。なぜタイヤを浮かせて走行しているのでしょうか。

なぜタイヤが浮いてる?その理由は?

 高速道路でたまに見かけるのが、タイヤの一部を浮かせて走行しているトラックやトレーラーです。
 
 とくに、多くのタイヤが備わっている大型のものに見られますが、なぜ一部のタイヤを浮かせているのでしょうか。

リフトアクスル機能によってタイヤを1軸上げることで、さまざまなメリットが生まれる
リフトアクスル機能によってタイヤを1軸上げることで、さまざまなメリットが生まれる

 その答えとなるのが、「リフトアクスル」という機能です。

 この機能は、積荷の量に応じてセンサーが発動し、おもに圧縮空気の力によって自動で車軸が降りてくる仕組みとなっています。

 積荷が重い場合には、装着されているタイヤがフルに使われ、反対に積荷が軽い場合や空の場合には、使う必要のないタイヤが浮くことで必要最小限のタイヤで走れるようになっています。

 一般的な「リフトアクスル」では、トレーラーの後前軸(プラス後中軸)の車軸がリフトアップされ、2軸車の場合後前軸を、3軸車の場合後前軸と後中軸の2軸を浮かせます。

 つまり、リアタイヤが2つ続きになっているものは前側が、3つ続きになっているものは一番うしろを残してリフトアップされることになります。

 では、なぜこのような仕組みが誕生したのでしょうか。

 実は、この仕組みによって、トレーラーで運送することで発生するさまざまな輸送コストが低減されるようになっています。

 とくに、タイヤを浮かせることによって、大きく変わるのが高速道路の通行料金です。

 NEXCO東日本では、高速道路の車種区分(トレーラー)を次のように定義しています。

 ・大型車「けん引普通自動車等と被けん引自動車(2車軸以上)との連結車両、けん引中型車と被けん引自動車(1軸車)との連結車両およびけん引大型車(2車軸)と被けん引自動車(1車軸)との連結車両」

 ・特大車「けん引中型車と被けん引自動車(2車軸以上)との連結車両、けん引大型車と被けん引自動車との連結車両で車軸数の合計数が4車軸上のものおよび特大車がけん引する連結車両」

 つまり、トレーラー単体の車軸が、2車軸以上あると「特大車」の料金となります。

 例えば、東北自動車道を利用して、浦和ICから青森IC間を平日の昼に走行する場合、リフトアクスル機能を使用しない状態で走行すると、高速通行料金は、通常料金で3万8200円となります。

 しかし、リフトアクスル機能を使い「大型車」の区分にすることによって、同区間の高速通行料金は、通常料金で2万3000円となり差額は1万5200円です。

 このように、走行に必要のない無駄なタイヤをリフトアップさせることによって、高速通行料金のコストを安くしているというわけです。

 また、タイヤを浮かせて走行するメリットは、高速道路通行料金だけではなく、燃料消費量、タイヤ、ブレーキなどの摩耗量といったランニングコストを低減すること。

 さらには、1軸、2軸をリフトアップすることによって、路面などへの影響も軽減できます。

 ちなみに、車軸の数によって高速道路の通行料金や税金が変わる例は、諸外国でも見られます。

 リフトアクスルの発祥は1940年代のヨーロッパとされており、1950年代にはフィンランドの企業によって製品化されたといわれています。

※ ※ ※

 リフトアクスル搭載車は、非搭載車に比べて200万円ほど割高であるのが一般的です。

 しかし、トラック1台あたりの高速料金や燃料消費量、消耗品の量は莫大であり、トラックの耐用年数は10年以上におよぶのが普通であることから、その差額はすぐに償却できるようです。

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5件のコメント

  1. むきになって言うことでも無いが エアサス装備の貨物車の場合 過重で自動ではなく手動で三軸の場合は前、後中、後後別別に上がるのではないですか?どの軸で走るかはドライバー次第ときいてます。空車の場合にはタイヤの磨耗調整もありますし 一概に自動で走っているのではなくドライバーさんの経験やポリシーで軸の上下は決めているのではないですか。

    • 手動でタイヤを上げ下げできるなら、「料金所を出入りする時だけタイヤを上げて高速料金を浮かす」って不正や、「重量に関わらず常にタイヤを浮かせてタイヤ交換の頻度を下げようとする」って違反が横行することが想像に難くないので、やっぱり重量に応じて自動で上下するものなのでは?

    • 三軸の場合は後中か後後の様ですね。後前ですと振出が大きく事故の誘発に繋がるかと。
      また、荷重により浮かせていてもリミッターで接地するようですし。下手に上げてもタイヤに負担が増えるだけだし料金所には重量計有りますからね。

    • 何回も同じ記事が出てくるのももうおなか一杯なのだが、リフト制御は乗務員がどうのこうのできるのもでは無く、全て自動で制御が行われて居るので念のため。一般的には「リフトアクスルコントロールバルブ」で行われている機械式のものと、「EBS」で行われている電気式のものが有る。記事の様に、3軸別々のは主に「EBS」で制御して居るが、後軸の最前軸・中軸・最後軸のリフトパターンはメーカや車種で異なり一意では無いし、乗務員が変えたりできる類の物ではない。おおむね、重量配分や、最小回転半径、リアオーバハングなどにより決められることが多い。もちろん、リフトをやめる強制降下は乗務員が操作できるので念のため。自動でリフトしている軸を手動で降下させる事はできるが、自動で下がっている軸を手動で上げる事は出来ない。

  2. トレーラーで荷台片側三軸ある物は空荷の時、後ろか真ん中が接地してるはず。後ろだけって訳では無いはず。基本は重量によって自動的に上下だけど任意でどこを浮かすかは選べだと思う(メーカーとかによる)。荷物が載っている時は上下出来なかったような気がする。
    あと箱車は帰り荷があることがほとんどだけど、平(特に鉄骨とかを積むやつ)は帰り荷が無い場合が多いから運賃的な問題もあって、帰りが空の時はなるべくならタイヤを浮かして摩耗を減らし高速料金も浮かせないと利益がね。

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