マセラティ第2のSUV「グレカーレ」最速試乗! 2022年登場予定デビュー予定の新型の走りとは

マセラティの新型ミドルサイズSUVが「グレカーレ」です。2021年の11月に世界初公開される予定でしたが、最近の半導体不足の影響もあり2022年春に延期されました。その開発は順調で、完成車に近いプロトタイプの試乗がイタリアでおこなわれました。モータージャーナリスト大谷達也氏のレポートです。

レヴァンテ好評を受けて登場する全長4.5mのミドルサイズSUV

 来年2022年春の発表が予定されている新しいSUV、マセラティ「グレカーレ」のプロトタイプにイタリアで試乗してきました。

マセラティの新SUV「グレカーレ」プロトタイプの走り
マセラティの新SUV「グレカーレ」プロトタイプの走り

 マセラティは100年以上の歴史を持つイタリアの高級車メーカーです。

 スーパーカー世代の人であれば、「ボーラ」や「メラク」といったミッドシップスポーツカーを覚えているかもしれません。

 さらに時代を遡った1950年代や1960年代には、F1やルマン24時間にも挑戦するほど積極的にモータースポーツ活動に打ち込んでいましたが、同じ北イタリア生まれのフェラーリやランボルギーニとは微妙に立ち位置が異なっています。

 というのも、純粋にスポーツ性能を追求していったライバル2社とは異なり、マセラティの製品は同じ高性能でもどこか落ち着きが感じられたり、洗練された優雅さのようなものを常に漂わせているからです。ピュアスポーツと位置づけられるフェラーリやランボルギーニに対して、マセラティは高速での長距離ドライブを得意とするグランツーリスモに分類されることが多いのは、このためです。

 このことを端的に反映しているのが商品展開で、「グラントゥーリズモ」や「グランカブリオ」といった2ドアモデルを手がけるいっぽうで、高性能サルーンを2モデル(「クワトロポルテ」と「ギブリ」)リリースし、SUVの「レヴァンテ」をいち早く発売するなど、いわゆるスポーツカーメーカーとは一線を画すモデルラインナップを揃えてきました。

 そのレヴァンテが好評だったことを受けて、2番目のSUVとして企画されたのがニューモデルのグレカーレです。

 グレカーレは、全長約5mと大きなレヴァンテに対して、全長4.5mほどと扱いやすいサイズを実現。ただし、ホイールベースをおよそ2.9mと長く設定することで、レヴァンテ並みの室内スペースを確保したといいます。

 今回、私が試乗したのは 2リッター4気筒ターボエンジンを搭載したモデル。しかも、このパワートレインには48Vのマイルドハイブリッドシステムが搭載されていてエンジンの働きを補助するほか、吸入気を圧縮するコンプレッサーを電気モーターで駆動するeブーストと呼ばれる機能も装備。ターボチャージャーが威力を発揮にしにくい低回転域では、このeブーストを代わりに用いることで、どんな車速域でも小気味いいエンジンレスポンスを実現したとマセラティは主張しています。

 このグレカーレ、もともとは2021年11月に発表される予定でしたが、昨今の半導体不足の影響を受け、発表は来春に延期されました。

 ただし、「それでも開発は順調に進んでいる」ことを世に知らしめるため、今回のプロトタイプ試乗会を実施したようです。

 いずれにしても、現時点では未発表モデルのため、試乗できたのはテストコースの内部だけで、外観はご覧のとおりの擬装付き。インテリアにも厳重にカバーがかけられていましたが、それでも、一般道とよく似たワインディングロードで、何の制約もなくテストドライブすることを許されました。これはごく異例のことといえます。

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