凄かったのはGT-Rだけじゃない! すべてが進化した「R32型 スカイライン」は何が凄かった?
「スカイライン」は、64年もの長きに渡ってその名を途切れさせることなく作り続けられている、まさに日産の象徴ともいえる存在です。なかでも1989年に発売された8代目の「R32型スカイライン」は原点回帰を目指したモデルとして歴史に名を刻みました。
新しい時代の走りを徹底的に追求した「超感覚スカイライン」
「アール・サンニー」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、BNR32=スカイラインGT-Rのほうではないでしょうか。
標準仕様の登場から3か月後に登場したスカイラインGT-Rは、超絶なインパクトを放ち、瞬く間に国産スポーツカーの頂点に登り詰めました。
16年ぶりの復活で話題を独占したスカイラインGT-Rの影に隠れがちですが、8代目となる標準仕様のR32(HCR/HR/HNR型)も、スカイラインの歴史に名を刻んだモデルとして後世に語り継がれる1台といえるでしょう。
そこで、「R32型スカイライン」はどんなクルマだったのか、振り返ります。
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先代のR31型(通称7thスカイライン)が時代の求めに応じたとはいえ、ハイソカー路線のクルマになったことは周知の事実です。これを歓迎した人がいる一方で、スポーティカーにしては大柄なボディや高級車然とした内装などに違和感を覚えた人も少なくありませんでした。
当時としては卓越した技術が奢られていたことからも、7thスカイラインが走りをなおざりにしていたわけではありません。しかし、“スカイラインは走りのクルマ”と捉えていた人からすれば、脈々と継承してきた伝統やクルマのキャラクターがやや希薄になったと感じさせたことは否めません。
そこで8代目の開発では、スカイラインにとって“走り”こそ唯一にして無二であると捉え、そこに焦点を絞ったクルマづくりが推し進められました。
折しも、日産では「901運動(キュウマルイチうんどう)」という開発目標が打ち出され、「1990年代までに走りの技術世界一を目指す」という大義名分の下、R32型スカイラインにはさまざまな新技術が盛り込まれることになったのです。
1980年代後半から1990年代は、クロカン4WDやステーションワゴン、ミニバンなどが市場を席巻。いわゆるRVブームが訪れますが、そのなかにあってもスポーティカーを選ぶユーザーは多く、R32型スカイラインはR31型から大胆なイメージチェンジを図ったことで、クーペ、セダンともに注目を集めました。
901運動が功を奏し、R32型スカイラインではシャシ、エンジン、サスペンションなど、あらゆる部分が刷新されました。
なかでも「RB20DET型」2リッター直列6気筒ターボエンジンは、量産車としては初めてセラミックローターと組み合わせたボールベアリングの軸受部を持つハイフローセラミックターボを採用することで、最高出力215馬力、最大トルク27.0kg-mという、2リッタークラスでは世界屈指のパフォーマンスを実現。
高出力化だけでなく、ドライバーと緻密なコミュニケーションが図れるようチューニングが施されたことで、スポーツドライビングの醍醐味を存分に堪能できたのも、このRB20DET型エンジンの魅力でした。
このほかR32型スカイラインには、2リッターDOHC自然吸気の「RB20DE型」、同SOHCの「RB20E型」、さらに1.8リッター直列4気筒SOHCの「CA18i型」というバリエーションが用意されていました。
これらのエンジンに組み合わされるトランスミッションは4速ATと5速MTで、ATはフルレンジ電子制御を採用。MTについては、スポーツ走行で使用頻度の高い2速、3速をダブルコーンシンクロとし、さらにショートストローク化することで小気味のいいシフトフィールを実現し、操る楽しさが味わえました。
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