実用性と速さを兼ね備えた新生ラージワゴン! 日産初代「ステージア」を振り返る

今でこそステーションワゴン(以下ワゴン)をラインナップに持たない日産ですが、かつては「ステージア」という、実用性と走りを兼ね備えたモデルが存在しました。実力派のワゴンながら、わずか2世代で歴史に幕を下ろしましたが世に与えたインパクトは大きく、そのパフォーマンスは世界に誇れる水準だったといっても過言ではありません。

国産プレステージワゴンの先駆けだった「ステージア」を振り返る

 現在、新車で購入できる国産ステーションワゴン(以下、ワゴン)は、選択肢は極めて少なくなっています。少数精鋭といえば聞こえはいいですが、すべてのジャンルのなかでも存在感が薄くなった印象は拭えません。

次世代の国産ラージサイズワゴンの先駆け的存在だった初代「ステージア」
次世代の国産ラージサイズワゴンの先駆け的存在だった初代「ステージア」

 しかし、そんなワゴンが現在のSUVのように多くの人から選ばれていた時代がありました。今から30年ほど前、ワゴンが国産新車市場を賑わせていたのです。

 そんな時代に登場した1台が、次世代国産ラージサイズワゴンの先駆けだった日産初代「ステージア」です。そこで、一時代を築いたステージアを振り返ります。

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 空前絶後のワゴンブームが起こるきっかけとなったのは、いわずもがな1989年に発売されたスバル初代「レガシィ ツーリングワゴン」です。レガシィ ツーリングワゴンが、それまで商用車の延長と揶揄されていたワゴンを人気ジャンルへと押し上げたこと、倒産の危機に瀕していたスバルの経営をV字回復させたことは、今も語り草となっています。

 レガシィ ツーリングワゴンの成功。さらに平成初期にキャンプやスキー、アウトドアスポーツが流行していたことも相まって、自動車メーカー各社はワゴンの開発に注力し、市場には雨後のタケノコのごとくワゴンが登場しました。“老いも若きも”、“猫も杓子も” ワゴンといった風潮や販売面での勢いは、現在のSUVと比べても遜色ないものだったといえるでしょう。

 そんなか、日産から初代ステージアが登場したのは、ワゴンブーム真っ只中の1996年でした。同年10月に発売された初代ステージアは、レガシィ ツーリングワゴンを追従した他車とは趣が異なっていたことが注目されました。

 カタログの冒頭で、「あなたとあなた自身の生活をステージアップするプレステージツーリングワゴンです」と謳っていることからもわかるように、上級路線を強調することでそれまでのワゴンとは一線を画していました。

 ボディの大きさや、上質感にあふれた内外装といった特徴が与えられたのは、ステージアが登場する以前にラインナップされていた「Y30型 セドリックワゴン&グロリアワゴン」や「R31型 スカイラインワゴン」の実質的な後継車だったからということは想像に難くありません。

 またステージアは、それまでの日産製ワゴンとも違いました。先述したY30型 セドリックワゴン&グロリアワゴンやR31型 スカイラインワゴンがセダンの派生車で、なおかつ商用バン的な趣だったのに対し、ステージアはステーションワゴンとして専用に設計されていたのです。

 ただし、すべて新規開発とまではいかず、主要なコンポーネンツは「R33型 スカイライン」や「C34型 ローレル」と共用していました。

 ボディサイズは全長4800mm×全幅1755mm×全高1490mm(2WD車)で、ホイールベースが2720mmです。3ナンバーサイズボディ、直線基調のフォルムや長めに設定されたリアのオーバーハングによって、堂々とした佇まいが演出されています。

 車内はボディサイズを生かしてゆったりとくつろげるスペースが確保され、ワゴンの要である荷室も広く、実用的でした。上質で快適な室内、多彩な用途に対応する使い勝手のよさは、ワゴンを求めるユーザーにとって買いの根拠になったわけです。

 初代ステージアがラージワゴンクラスで確たる地位を築いたもうひとつの要因として、走りのよさが挙げられます。搭載されるエンジンは3種類用意されており、いずれも直列6気筒となります。

 エントリーグレードに搭載されたのが排気量2リッターのRB20E型で、最高出力130馬力、最大トルクは17.5kg-mを発生。

 主力となる2.5リッターエンジンは自然吸気の「RB25DE型」が最高出力190馬力/最大トルク23.5kg-mと、よりパワフルな特性を持ち味とする2.5リッターターボの「RB25DET型」は最高出力235馬力/最大トルク28.0kg-mを誇りました。

 トランスミッションは4速ATを基本に、一部グレードには5速MTが設定され、駆動方式は後輪駆動で、2.5リッターエンジン車には「アテーサE-TS」と呼ばれる、電子制御トルクスプリット型の4WDシステムが採用されました。

 足まわりは2WDのフロントがストラット、リアはマルチリンクで、4WDが前後マルチリンクを採用。ツーリングワゴンにふさわしいチューニングが施されており、ボディ剛性の高さも相まってダイレクトな操舵感を実現し、気持ちのいい走りが味わえました。もちろん、人を乗せる機会が多いクルマらしく快適でフラットな乗り味も大きなセールスポイントでした。

 そして、1997年10月に発売された「オーテックバージョン 260RS」は、日産の関連会社で特殊車メーカーであるオーテックジャパンが手掛けたスペシャルモデルです。

 R33型 スカイラインGT-Rに採用されたメカニズムがそのまま移植されたことが大きな話題となりました。

 とくに、スカイラインGT-R以外で「RB26DETT型」エンジンを搭載したのは後にも先にもこの260RSだけ。最高出力280馬力、最大トルク37.5kg-mという高出力を武器に、「GT-Rワゴン」という異名のとおり本格スポーツカーに匹敵するパフォーマンスを見せつけました。

 その後、2001年に初代ステージアは生産を終了。初代のコンセプトを継承した2代目へとフルモデルチェンジを果たしました。

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 初代ステージアはワゴンブームに迎合することなく上級路線を貫くことで、プレステージワゴンという独自の価値を提供しました。

 そのうえ、単なる実用車ではなく走行性能でも他車と一線を画したことも人気を支えた要因だったといえるでしょう。

 しかし、ミニバンやSUVと実用系の車種を求めるユーザーの選択肢が拡大したことで、ワゴンブームは長くは続きませんでした。

 ステージアは2世代で歴史に幕を下ろしましたが、それでも日本初の本格的なラージサイズワゴンとして高い評価を得て、初代ステージアは今もなお多くのファンから支持されています。

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