世代交代直前はかなり魅力的だった? 長い歴史があっても消えた車3選

日本車のなかには50年以上もの歴史を刻むモデルがあります。しかし、長い歴史があっても販売台数の低迷が続けば、存続は難しくなるでしょう。そこで、世代交代する直前のファイナルモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

世代交代前のファイナルモデルを振り返る

 日産「スカイライン」やトヨタ「クラウン」「カローラ」など、日本車のなかには50年以上も系譜が途切れることなく販売されているモデルがあります。

長い歴史を持つシリーズの最後を飾ったファイナルモデルたち
長い歴史を持つシリーズの最後を飾ったファイナルモデルたち

 世界的にも長寿なモデルが多い日本車ですが、この先どうなるかは不透明です。

 いくら長い歴史を刻むクルマでも、売れなくなってしまったら生産を終えるか、異なる車名で心機一転をはかるのか、その判断が問われることになるでしょう。

 実際に、かつてメーカーの主力車種として長く販売されたクルマでも、生産中止や改名を余儀なくされたケースも数多く存在。

 そこで、世代交代する直前のファイナルモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●スバル「レオーネ」

4WD乗用車の先駆け的存在で、後のモデルに大きな影響を与えた「レオーネ」

 最近はほとんど耳にしなくなりましたが、積雪する地域で使われる4WDのセダンやステーションワゴン、バンなどを総称して「生活四躯」と呼んでいました。

 この生活四躯の先駆け的存在だったのが、1971年にデビューしたスバル「レオーネ」です。

 スバルは1971年に、東北電力から巡回用にとのリクエストにより、商用バンの「ff-1・1300Gバン」をベースにした4WD車を開発。僅かな台数が生産されたff-1・1300Gバン4WDの技術を応用したのが、1972年に世界初の乗用車タイプの量産4WD車「レオーネ エステートバン 4WD」が誕生しました。

 当時はまだ悪路走破性を重視しており最低地上高も高めでしたが、まさに「レガシィ アウトバック」の原型といえるモデルでした。

 1975年には、同じく世界初の量産4WDセダンとして「レオーネ 4WDセダン」も登場し、生活四躯として人気を獲得。

 その後、1979年には2代目、1984年に3代目へとモデルチェンジしましたが、水平対向エンジンはOHVが主力と前時代的な印象は否めませんでした。

 そこで、1980年代に起こったターボ化の波に乗るべく、1984年には改良されてSOHCとなった最高出力135馬力(グロス)の1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載したモデルが追加され、さらにフルタイム4WD化も果たしました。

 しかし、スペック的には他社に遅れをとっていたため、スバルは1989年に次世代のモデルとして初代「レガシィ」を発売し、さらに1992年には初代「インプレッサ」がデビュー。

 レオーネはラインナップを絞ってレガシィ、インプレッサと併売されましたが、1994年に生産を終了し、乗用車4WDのパイオニアだったレオーネは完全に世代交代しました。

 ちなみに、レオーネという車名は日産から供給された「ADバン」のOEM車に、「レオーネバン」として2001年まで使われていました。

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●マツダ「ファミリア」

高性能なモデルが登場して起死回生を図った9代目「ファミリア」

 かつて、マツダの主力車種として長い歴史を刻んでいたのが「ファミリア」です。現在の「マツダ3」の前身にあたるモデルで、初代は1963年に同社初の本格的な乗用車(登録車)として誕生しました。

 歴史的にはカローラよりも早くにデビューした大衆車で、モダンでスタイリッシュなデザインが特徴のライトバンが最初にデビューし、1964年には4ドアセダンとピックアップトラックが追加され、1965年には2ドアクーペが追加されました。

 その後、2代目ではロータリーエンジンを搭載し、FF化された5代目は若者を中心に大ヒットを記録。さらに6代目では日本初のフルタイム4WD車で高性能モデルの「ファミリア GT-X」が登場するなど、高い人気を誇りました。

 そして1998年には9代目がデビューし、ボディはセダンと5ドアショートワゴンの「S-ワゴン」をラインナップすることでイメージを一新。

 8代目はスペック的に目をみはるモデルはありませんでしたが、9代目では高性能な2リッターエンジン車「マツダ―スピード ファミリア」や「スポルト20」も登場するなど、若者にも訴求する魅力的なモデルが登場しました。

 しかし、販売はかつてのように好調とはいえず、2003年に後継モデルの「アクセラ」へとバトンタッチして2004年に生産を終了。

 なお、現在もトヨタ「プロボックス」のOEM車として「ファミリア バン」を販売しており、車名だけは存続しています。

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●日産「セドリック/グロリア」

技術的にも大きく進化したものの生き残れなかった「セドリック/グロリア」

 1988年に日産初代「シーマ」が登場する以前、同社の高級パーソナルセダンといえば「セドリック/グロリア」であり、初代セドリックが1960年に誕生し、初代グロリアは日産と合併する以前のプリンスから1959年に誕生。

 その後1966年に日産とプリンスが合併して、1971年モデル以降はセドリックとグロリアは販売チャネル違いの姉妹車となり、以降はシャシ、エンジン、基本的なデザインを共通化して代を重ねました。

 シーマの登場後もセドリック/グロリアはビジネスカーやパーソナルカーとしての人気をキープし、1999年には10代目セドリック/11代目グロリアがデビュー。

 トップグレードには最高出力280馬力を誇る3リッターV型6気筒DOHCターボの「VQ30DET型」を搭載し、さらにこの大出力にも対応した画期的なCVTである「エクストロイドCVT」を設定するなど、技術的にも先進性をアピールしていました。

 しかし、エクストロイドCVT車は400万円台から500万円台の価格帯と高額なため人気とはならず、セドリック/グロリア自体も販売台数は下降しており、2004年に後継車の初代「フーガ」に統合されて長い歴史に幕を下ろしました。

 ちなみに、タクシーやハイヤー用のビシネスカー「セドリック営業車」だけは8代目の「Y31型」セダンのまま2014年まで生産が続けられ、数は少なくなっていますが現在もタクシーとして使用されています。

※ ※ ※

 歴史あるモデルを存続させるか、それとも消滅させるか、メーカーとしてもかなり悩みどころではないでしょうか。

 しかし、どんなに優れたクルマでもニーズの変化は抗えないため、存続させるには何らかの手を打たなければなりません。

 たとえば、米フォードは電動SUVに「マスタング マッハE」の名を与えました。伝統的なスポーツカーであるマスタングの車名を電動SUVに付けたことは賛否両論ありますが、メーカーも変化を続けなければ生き残れないということです。

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2件のコメント

  1. 日産はもうこれ以上伝統ある名前と顧客を棒に振るやり方をやめて欲しいです。
    「セドリック&グロリア」や「パルサー」「マーチ」「ブルーバード」は氷山の一角です。
    トヨタは「クラウン」「カローラ」「ランクル」など常に伝統と信頼、そして人との繋がりを大事にした車作りをしてきましたよ。
    どうしてトヨタが出来ることを日産は出来ないのでしょうか?

    • マーク2「」

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