ミニバン3列目から車外放出事故発生! 原因となる「ハイドロプレーニング現象」はどう対処すべきか
雨の日は事故が4倍に増加するといいます。実際に、雨の日にミニバンがスリップした結果として死亡事故が発生しており、これは「ハイドロプレーニング現象」が原因とされていますが、どのような状況だったのでしょうか。
中央道(下り)で起きた悲惨な事故
2021年の夏は、日本全国で大雨による被害が多発しています。また、雨の日は事故が4倍に増加するといいます。
実際に、雨の日にミニバンがスリップした結果として死亡事故が発生しており、これは「ハイドロプレーニング現象」が原因とされていますが、どのような状況だったのでしょうか。
8月14日夜に中央道(下り)で、20代から50代の男女7人が乗ったワゴン車(E51系日産エルグランド8名定員)が事故を起こしたのは中央道下り線、三鷹料金所を抜けた片側2車線のほぼ直線道路でした。(東京都調布市深大寺東町3丁目)
事故の衝撃によって3列目に乗っていた3名が車外に放出され、うち2名が死亡。
1名が頭蓋骨を骨折する重傷を負い、1列目と2列目に乗っていた4名は軽傷となっています。
今回、現場で任務にあたった警視庁高速道路交通警察隊に話を聞くことができました。
――どのような事故だったのでしょうか?
ワゴン車には7人が乗っていました。1列目2名、2列目2名、3列目3名。衝突の衝撃で3列目に乗っていた3名が車外に投げ出されました。
水たまりでハンドルを取られてしまったので立て直そうとしたところ、クルマの左前が路肩側のガードレールにぶつかって反時計回りにスピンし、右後ろもガードレールに衝突。この衝撃で2名が後部ガラスから飛び出しています。
クルマはさらに回転しながら反対側(中央分離帯側)のガードレールに衝突。ここで3人目が同じ後部ガラスから車外に放出されたと考えられます。
――後部ガラスとはどこのガラスでしょうか?
クルマの真後ろのガラスです。リアゲートのガラス部分で側面の窓ガラスではありません。
――3列目の3名はシートベルトをしていなかったのでしょうか?
はっきりとしたことはわかりませんが、2列目には夫婦が乗っており、現場で『私たちはシートベルトをしていたが後ろの3人はシートベルトをしていたかどうか不明』と話されていたので、3列目の3名はシートベルトをしていなかった可能性が高いとみています。
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今回のエルグランドは、片側2車線の道路の両サイド(路肩側と中央分離帯側)のガードレールに衝突しており、路肩側で2名、中央分離帯側で1名が同じ後部ドアのガラスを突き破って車外放出されたことになります。
また、事故の原因は「ハイドロプレーニング現象による可能性が高い」(警視庁)とされています。
ミニバンのリアゲートのガラスから3人が次々と投げ出されるような事故はどのように発生するのでしょうか。交通事故鑑定ラプター所長の中島博史氏に聞いてみました。
「3列目からの投げ出しは車両の損傷が極端にひどくない限り、後方に向かってだと思われます。
今回のようにリアウインドウを突き破るか、衝撃で割れたところから飛び出すか、リアハッチが開いて飛び出すか…。
ただ、側面最後方の窓は狭いので仮に割れても人が抜け出せる大きさではないものがほとんどですし、3人が続けざまに投げ出されることは無理です。
フロントウインドウからの突き抜けは、車両前方が衝突したときに起こりますが、後席乗員が車外放出されるには衝突からある程度の間、(人体が)天井を滑るように動かなくてはならないので、考えにくいです。
衝突時にリアの跳ね上げが起きるような形態ならありえないとはいえませんが、それほどの衝撃だとシートベルトをしていた乗員も無事(軽傷)程度では済まないとは思います」
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