「わずか15分でも危険!」 暑い夏、車内に子供を放置しないで! 熱中症の危険性とは
気温が高くなるほど熱中症になる危険性があります。事実、気温の高いときに車内で放置された子どもが熱中症で死亡するなどの痛ましい事故が発生していますが、車内に子どもを放置することは一体どのくらい危険な行為といえるのでしょうか。
クルマに子どもを放置するのはどうして危険なの?
8月となり本格的に気温が上昇するにつれて、熱中症の危険性が高まります。
東京消防庁によると、東京消防庁管内(稲城市と島しょ地区を除く東京都)における熱中症による救急搬送人員は、梅雨明け後の最初の気温が高くなる日から急激に増えることがわかっており、気温が高くなるほど熱中症が発生しやすいことがうかがえます。
そんな十分に注意が必要な熱中症ですが、2021年7月末には、福岡県で保育園の送迎バス内に置き去りにされてしまった子どもが、熱中症により死亡するニュースが報道されました。
さらに、一般社団法人日本自動車連盟(以下JAF)は、2021年8月4日に2020年の8月の1か月間に出動した、「子どもやペットを車内に残したままのキー閉じこみ」の件数について、全国で子どもの場合75件、ペットの場合23件と合計98件の件数を公表しています。
このうち、緊急性が高いと判断され、通常の解錠作業ではなく、ドアガラスを割るなどしたケースが2件あったようです。
このように子どもをクルマに置き去りにすることで、痛ましい事故を引き起こす危険性が高いとされていますが、クルマに子どもを放置することはどれくらい危険な行為となるのでしょうか。
JAFでは、夏にクルマ内部の温度が実際どれくらいになるのか、計測するユーザーテストをおこなっています。
このテストでは、8月下旬に気温35度の晴れた日の午後12時から16時までの4時間の間、駐車条件の異なる各ミニバン5台についての、車内温度が測定されています。
テストに使用された5台のミニバンはそれぞれ、黒(日除け対策なし)、白(日除け対策なし)、白(サンシェード装着)、白(3cmの窓開け)、白(エアコン作動)で、車両内温度を25度に揃えられた状態で温度測定が開始されています。
このテスト結果では、もっとも車内温度が高くなったのは黒(日除け対策なし)で、車内の最高温度は60度近くまで達していました。
一方、ほかのクルマの車内温度もまた、エアコンを作動させていた車両を除いたすべてで45度以上の高温となり、エアコンを作動させない限り、真夏の駐車場に停めているクルマの車内温度はいずれも熱中症を引き起こす高さまで上昇することが、このテストによってはっきり示されています。
また、コンビニやスーパーなどの駐車場に子どもを車内に残した状況を想定して熱中症の危険度を測定した検証もおこなわれており、クルマを駐車場に停めてからエアコンを停止してどれくらいの時間で熱中症指数に達するかを測定しています。
その結果、エアコンを停止する前は20度を下回っていた気温が、エアコンを停止してからわずか5分ほどで25度、10分後には20度、15分後には30度を超え熱中症指数が危険レベルに達しています。
この場合、乳幼児は体温調節機能が未発達で高温下では短時間で体温が上昇し、最悪の場合死に至る危険性も考えられます。
JAFの担当者は、熱中症の危険性について以下のように話します。
「直射日光があることで車内温度が上がり、夏はとくに温度が上がりやすいとされています。
車内温度は夏に関わらず、春であっても気温が上がりやすいため、早くから注意喚起をおこなっています。
車内温度が上がることで、空気が抜けないビニールハウスにいるような状態となり、こうした状況下ではお子さんはもちろん、高齢者も危険な状態となるため、注意が必要です。
そのため、『天気が曇っているから大丈夫』『少しの間なら平気』といった安易な考えからお子さんを取り残してクルマから離れることは非常に危険です。
また、エンジンをかけてエアコンをつけた状態では、車内温度が上がることはありませんが、急にエンジンが止まっていたという事例も多く発生しているので、お子さんを残してクルマから離れることは、絶対にしないように心がけて下さい」
※ ※ ※
厚生労働省では、熱中症予防について体温調節能力が未発達な子どもは大人よりも熱中症にかかりやすいため、気温が高い時にはとくに子どもの様子に気を配るよう推奨されています。
そのため、寝ているからと子どもを車内に残すことは大変危険な行為であり、加えて高齢者も同じように危険な状態となるため、十分な注意が必要です。
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