異次元の加速力! ポルシェ・スーパーEVのトップモデル「タイカンターボS」を体感した
ポルシェブランド初となる電気自動車(EV)として登場したのが4ドアクーペ「タイカン」だ。日本では2020年に登場、その後2021年1月には後輪駆動モデルが、同年3月にはオールラウンダー「タイカンクロスツーリスモ」と、バリエーションを増やしています。今回はそのトップモデル、タイカンターボSに試乗しました。
爆音もなくスキール音もなしで圧倒的な加速力を実現
ポルシェ「タイカン」は、ポルシェのBEV(バッテリーEV=電気自動車)として2019年に、日本では2020年に登場しました。
2021年夏の時点では、タイカン、タイカン4S、タイカンターボ、タイカンターボSという4つのグレードが用意されています。後輪駆動の2WDのタイカンは1203万円、4WDのタイカン4Sは1462万円、タイカンターボは2037万円、タイカンターボSは2468万円と別表のようにパフォーマンスの上昇とともにプライスも上昇します。
今回試乗したのはその最上級グレード、タイカンターボSです。
ターボというネーミングは、これまでのガソリンエンジンを搭載したポルシェのハイパワーバージョンと同じイメージを出したかったそうで、決してターボチャージャーが付いているわけではありません。
タイカンターボSのパフォーマンスは圧倒的です。0-100km/h加速が2.8秒というのは、カタパルトで空母から戦闘機を射出されるような(体験したことはありませんが)加速を味わえます。
それを爆音もなし、タイヤのスキール音もなしにやってのけるのです。さらにすごいのは、そのまま加速を続けるとあと7秒で200km/hに達するところ。つまり0-200km/hをたった9.8秒で加速するというのは、身体の弱い人なら目眩を起こしそうなレーシングカー並みの加速Gを感じることができるのです。
タイカンターボSのリチウムイオンバッテリーの総容量は93.4kWh、使える正味容量は83.7kWhで、フル充電で走れる距離はWLTCモードで416kmになっています。通常ならば余裕を持って300kmは走行可能です。
たしかにもっと長く走れるほうがいいとは思いますが、充電場所さえ把握していれば日常の走行ならOKでしょう。ただしレーシングサーキットでポルシェらしくアクセル全開、フルブレーキングのようなドライビングを連続すると、100km前後しか走れないかもしれません。
ガソリンエンジンのポルシェモデルで同じことをやれば、航続距離は同じくらい短くなりますが、エンジンをレッドゾーン入口までフルに回して、サーキットを連続走行できる腕のあるドライバーはなかなかいません。
ところがタイカンはBEVなので、アクセルペダルを床まで踏みつけても音もなく加速するので、ちょっと慣れれば恐怖心を持たずに誰でもできてしまいます。立ち上がりから最大トルクを出せる電気モーターの特性を活かしたハイパフォーマンスBEVの新しい時代が始まっているようです。
強い回生ブレーキも効くBEVなのだから、巨大なキャリパーを持つポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ(PCCB)という贅沢なブレーキシステムを備えなくても良いのではないかと乗る前は思いました。
しかし実際にこの加速力を体験し、約2.3トンの重量を止めることを想像したら、サーキット走行を想定したらこのブレーキが必要なことが理解できました。ただし実際には、一般道を走っているときの低Gのブレーキングシーンでは、ほとんどが回生ブレーキで減速しています。
ブレーキペダルのフィーリングは、少し踏み込むと剛性が出て、あとは踏力だけでコントロールできるところはいつものポルシェに近い感覚です。HVやEVにあるような遠隔操作のブレーキフィールではないので扱いやすく感じました。
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