ホンダ新型「フィット」に真打モデューロX登場!ノーマルとの違いは何か?群サイで徹底検証
「心地よさ」を追求したというホンダ新型「フィット」ですが、そんな「フィット」にメーカー純正コンプリートカーの「モデューロX」が追加されました。ノーマルとの違いやその実力はどれほどのものなのでしょうか。
旧RSの代わりになり得るか?「フィット」モデューロXの実力とは
2020年、4代目に進化したフィットは「心地よい」を開発コンセプトに登場しました。コンパクトハッチに求められる性能をバランス良く盛り込んだ一台ですが、実際の販売は目標に対して苦戦しているのも事実です。
日本自動車販売協会連合会が発表する乗用車車名別販売台数を見ると、トップ10落ちしている月も散見され、同クラスのライバルであるトヨタ・ヤリスには差をつけられてしまっている状況です。
その原因は「押しの弱さ」、「身内に最大のライバルがいた(=N-BOX)」など色々ありますが、筆者(山本シンヤ)は「ホンダらしさが薄い」と言う部分だと思っています。
その「ホンダらしさ」は人により様々ですが、筆者は「実用車+α」だと考えています。具体的に言うと、「“チョイ足し”で化ける要素を持っている事」です。歴代フィットで言えば、2/3代目に設定された「RS」がそれに当たります。
フィットRSはタイプRのような凄いスペックやメカニズムが与えられていたわけありませんが、ほど良い1.5リッターエンジンとMTの組み合わせや、軽量ボディ+引き締められたフットワークなどが与えられたグレードで、日常領域でもワクワクできる要素を持っていた事や、基本素性の良さを活かしてチューニングやモータースポーツの世界でも活用された事など、まさに「エントリースポーツ」として重要な役割を担っていました。
しかし、残念ながら新型フィットにはRSの名は引き継がれませんでした。ビジネスの観点で見るとRSの販売比率は決して高くなかったので解らなくもありませんが、それによって失ってしまったモノもあったのではないでしょうか?
そんな中、新型フィットをベースにホンダの純正アクセサリーの企画・販売をおこなうホンダアクセスがトータルプロデュースしたコンプリートカー「モデューロX」が追加されました。
モデューロXの役目は「ホンダ車の魅力を更に高めること」と、「クルマ好きにとっての理想のノーマル」がコンセプトで、登場以来様々なモデルに設定されてきましたが、今回のフィット モデューロXはその第7弾のモデルとなります。
走りの開発を担当したホンダアクセス の湯沢峰司氏は、フィット モデューロXについてこう語っています。
「新型フィットの素性は非常に良いので、『モデューロXとしてのブレない軸』と『ユーザーが何を求めているのか?』をどのようにバランスさせるかが開発のテーマでした」。
その何かとは?皆さんよーくお解りですよね? 筆者は昨年末に開発中のテストカーを味見していますが、今回はナンバー付き量産モデルをリアルワールドでの試乗です。
それもモデューロXの「走る道/環境/ドライバーを選ばない」を実際に体感するために、東京・青山のホンダ本社から一般道~高速道路を走って「日本のニュル」と呼ばれる群馬サイクルスポーツセンターに向かい、この場で極限状態を試す……と言う内容です。
まずは簡単にノーマルとの違いを紹介しましょう。
エクステリアはモデューロXの実効空力理論に基づいてデザインされた専用の前後バンパー(形状だけでなく見えない所にも秘密あり)と専用のグリル(ダーククロームメッキ仕様)、専用のテールゲートスポイラー(ノーマルとは上面の長さ/角度が違う)などを装着。
実はこれらは意匠変更が目的ではなく、空気の力を味方につけて操縦安定性を高める効果を備えた「機能部品」としての採用です。その結果、フロント周りはホノボノ顔のノーマルに対して精悍さがプラスされています。
一方、インテリアはノーマルの「LUXE」をベースに、ステアリング/シート(本革/ラックススエード)/シフトノブ/パワースイッチ/インテリアパネルなどを専用品でコーディネイト。シートはノーマルと同じ形状ながらも滑りにくい素材の採用により、運転中もより体が支えやすくなっています。
フットワークは専用チューニングのダンパーを採用。スプリングも…と言いたい所ですが、新型フィットから採用される新世代のホンダセンシングは車高変化に対して非常にセンシティブな事から、安全支援デバイスを確実に作動させることを優先しノーマルスプリングを採用しています。
ただ、それではモデューロXの乗り味を実現させるのは難しい…と言う判断から、新たなアイテムを開発。それが軽量(LUXE比-2.9kg/本)かつしなやかさを持った専用のアルミホイールの採用です。これはモデューロの「ホイールもサスペンションの一部」と言う設計思想をより色濃く反映させた物で、ホイールの“しなり”をコントロールすることでタイヤの接地面圧を高める効果があると言います。タイヤはノーマルの上級グレードと同じ185/55R16サイズのヨコハマ ブルーアースAを履きます。
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