リアウイングがない! プジョー「9X8」は2台体制でFIA世界耐久選手権に参戦
ル・マン、それはプジョーの実験室
2020年9月に耐久レースの新クラス「ル・マン・ハイパーカー」への参戦が発表されて以来、パリ近郊のベルサイユにあるファクトリーでは、9X8の開発に情熱が注がれている。そして予定通り、PEUGEOT HYBRID4 500KWパワートレインを構成する内燃機関であるリアに搭載された500kW(680ps)の2.6リッター90度V型6気筒ツインターボエンジンは、2021年4月からベンチでマイレージを重ねてきたという。
フロントに搭載された200kWのモーター・ジェネレーター・ユニットと7速シーケンシャル・ギアボックス、そしてバッテリーは、ベンチテストの検証スケジュールに沿って組み立てられた。このパワフルで技術的に洗練された高電圧(900ボルト)高密度バッテリーは、プジョー・スポールとトタルエナジーズの子会社であるサフトによる共同開発だ。
ジャン・マルク・フィノ氏は、次のように説明している。
「われわれが必要とするエネルギーについての目標は、完璧な信頼性と完璧なコントロールです。ル・マンは、ピットインの回数で勝敗が決まる、もはや24時間のスプリントレースになっています。新型ハイパーカーの優れたエネルギー効率は、ロードカーの世界でもまもなく見られるであろうことを予感させます。このことは、パワートレインからエアロダイナミクスに至るまで、あらゆる面で超高効率の達成に貢献しなければならない、9X8のパッケージの作業に基本的な影響を与えました」
9X8は、空力的、機械的、電子的な効率性に加え、耐久レースの世界におけるプジョーの広範なエンジニアリングの専門知識を披露することになる。そして過酷なレースとして知られるル・マン24時間レースで走行する5400kmの距離は、F1のフルシーズンの走行距離に近いため、効率性と信頼性の両方が重要となるのだ。
●なぜプジョーはル・マンにチャレンジするのか
どうしてル・マンに参戦するのか、リンダ・ジャクソン氏がその理由を説明した。
「プジョーが耐久レースに参加するのは、スポーツとしての側面だけではありません。耐久レースは、わたしたちに極限の実験室を提供してくれるモータースポーツであり、だからこそ、ル・マンとの結びつきが強いのです。
レーストラックでの結果よりも重要なのは、24時間という極限状態のなかで、わたしたちの技術や研究成果を証明する機会を与えてくれることです。ル・マンは、われわれが現在開発しているロードカーの燃料消費量、ひいてはCO2排出量を削減するためのハイブリッドシステムや技術を検証するための競争的な環境を提供してくれます。
プジョー・スポールのチームは、自分たちの研究が市販車に反映されているのを見て、誇りに思っています。わたしたちの顧客にとって、ル・マンは、わたしたちのクルマの品質を証明する実験室なのです」
なお、2022年のFIA世界耐久選手権には、2台のプジョー9X8が参戦する予定となっている。
●プジョー9X8テクニカルデータ
クラス:ル・マン・ハイパーカー(LMH)
ボディサイズ:全長5000mm×全幅2080mm×全高:1180mm
ホイールベース:3045mm
パワートレイン:PEUGEOT HYBRID4 500KW (全輪駆動)
リアドライブトレイン:500kW(680hp)、2.6リッター90度V6ツインターボ、ガソリン内燃機関+7速シーケンシャルトランスミッション
フロントドライブトレイン:200kW電動モータージェネレーター+1速減速機
バッテリー:プジョー・スポール、トタルエナジーズ、サフトの共同開発による高密度の900ボルトバッテリー
燃料と潤滑油 :トタルエナジーズ
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