リアウイングがない! プジョー「9X8」は2台体制でFIA世界耐久選手権に参戦
いまにも飛びかかろうとする大きな猫を描いたスケッチから着想
プジョーのデザイン・ダイレクターであるマティアス・ホッサン氏は、次のように述べている。
「9X8はあくまでプジョーであるゆえに、オリジナルのスケッチは、いまにも飛びかかろうとする大きな猫を描いたものでした。
プジョー9X8の全体的なラインはブランドのスタイリングキューを表現しており、そのスリークでレーシー、かつエレガントなフォルムは感情とダイナミズムを刺激します」
●パワフルなブランド・アイデンティティを醸し出すデザイン
9X8のフロントとリアのライティングシグネチャーは、3本の爪のようなストロークで構成されており、プジョーのロードカー同様のトレードマークとなっている。また、ブランドのあたらしいライオンヘッドロゴは、マシンのフロントとサイドにバックライトで表示。ボディとコックピット内のセレニウム・グレーとクリプトナイト・アシッド・グリーン/イエローのコントラストは、508と508 SWで導入された、あたらしいPEUGEOT SPORT ENGINEERED(508 PSE/508 SW PSE)のカラースキームが反映されている。
さらにデザイナーは、9X8のインテリアにも細心の注意を払ったという。マティアス・ホッサン氏は次のようにインテリアのデザインについて強調した。
「コックピットは、これまでのレーシングカーは機能的なだけで、ブランドのアイデンティティを持たないものでした。ですが、わたしたちは特別なアプローチを取りたかったのです。
われわれのカラースキームとプジョーのインテリア・スタイリング・シグネチャーであるi-Cockpitを組み合わせることで、9X8のコックピットは独自の雰囲気を醸し出し、車載カメラで撮影してもそれがプジョーのマシンであることがひとめでわかるようになっています」
エクステリアでは、彫刻的なホイールが、すっきりとしたシャープな構造のサイドの面とバランスのとれたラインに貢献。ウィングベントによってタイヤの上部は露出しており、完璧にインテグレートされたサイドミラーによって空気の流れが妨げられることなくマシンの上を通過するようになっている。
プジョーCEOのリンダ・ジャクソン氏も「わたしはプジョー・デザインとプジョー・スポールのチームを知っており、彼らは常に質の高いイノベーティブな作品を生み出していることも知っています。しかし、それでも9X8には率直にいって圧倒されました。とにかく素晴らしいのです。その革新的で流れるようなラインが、パワフルなブランド・アイデンティティを醸し出しているのは見事というほかありません」と、コメントした。
●リアウイングがない!
プジョー・スポールのWECプログラム・テクニカル・ダイレクターであるオリビエ・ジャンソニ氏は次のように説明している。
「あたらしいル・マン・ハイパーカーのレギュレーションは、性能の向上を平準化するために策定されています。この新レギュレーションのもと、9X8を設計することは情熱的な経験でした。というのも、わたしたちには、マシンのパフォーマンス、とくにエアロダイナミクスを最適化するために、常識にとらわれない方法を自由に探ることができたからです。
レギュレーションでは、調整が可能な空力デバイスはひとつだけと規定されており、リアウイングについては規定されていませんでした。わたしたちの試算とシミュレーションにより、リアウイングがなくとも高いパフォーマンスが可能であることがわかりました」
さらに、ステランティスのモータースポーツ・ダイレクターであるジャン-マルク・フィノ氏は以下のように述べている。
「プジョー9X8にリアウイングを付けないことは、大きな革新的なステップです。われわれは、この機能をなくすことができるほどのエアロダイナミクスを達成しました。でも、どうやってとは聞かないでください。できる限り秘密にしておきたいと思っていますから!」
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