高速道路の「長~い」加速車線 本線から移って走るのはアリ?

「違反ではないが推奨されない」理由は?

 ある県の警察関係者は、扱いとしては、長い加速車線は本線車線ではなく「付加車線」であり、走行車線から車線変更すること自体は法令違反ではないといいます。しかしだからといって気軽に車線変更してよいかというと話は別で、次のように話します。

「そもそも加速車線は、本線に合流する車両が加速するための車線であるため、その設置目的を踏まえると、距離が長いからといって走行車線から移ることは推奨されません。

 高速道路の本線は基本的に2車線や3車線が整備されていますので、例えば速いクルマに先を譲る場合でも、追越車線から追い越してもらう方が良いでしょう」

合流手前で本線に入るクルマ。
合流手前で本線に入るクルマ。

 別の県の警察関係者も同じく、本線を走る車両がいったん長い加速車線に移ること自体は「法令違反ではないですが……」と前置きしたうえで次のように話します。

「長い加速車線の本来の設置目的は、たくさんの合流車両が本線にスムーズに合流できるようにするためのものです。そのことを踏まえると、本線の車両は加速車線に移るべきではありません」

 このように加速車線は、あくまで本線に合流する車両が加速するためという位置付けのようです。そのため、本線の車両は仮に流れが悪くなったとしてもそのまま本線を走り続ける方が無難といえます。

※ ※ ※

 ちなみに渋滞ポイントとなる高速道路の合流地点では、加速車線を伸ばす以外の対策をしているケースがあります。その一つが「ファスナー作戦」です。

 そもそも渋滞の発生原因の一つに、合流車両が十分に加速しないまま早々と本線に合流することが挙げられます。

 名神高速の一宮JCTでは、東海北陸道から名神上り線(名古屋方面)に合流する車両が多く渋滞が多発。

 そこで管轄するNEXCO中日本は、加速車線と本線の走行車線を分けるラバーポールを約520m延長し、加速車線の先端のみでファスナーのように1台ずつ交互に合流させるファスナー作戦を展開しています。

 高速道路の合流をめぐっては法令の面でも変化が見られます。2020年4月、運転支援や自動運転システムの開発の進展にあわせて実勢速度との矛盾を解消するため、加速車線や減速車線の最高速度を定める道路交通法施行令が一部改正されました。

 それまで高速自動車国道の本線車道に接する加速車線・減速車線の最高速度は60km/hでしたが、一部改正により本線車線と同じ(100km/hまたは80km/h)に変わっています(施行令第11条・第27条。自動車専用道路などは別)。

 高速道路で本線に合流する際は、加速車線の長さを存分に使って、十分なスピードまで加速してから、ということを改めて意識した方がよさそうです。

【画像】関越道の長い加速車線や、高速道路のいろんな合流(12枚)

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Writer: くるまのニュース編集部

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