トヨタ新型「ヴェルファイア」は登場する? アルファードに統合? 高級ミニバンの行く末
2021年4月27日にトヨタの高級ミニバンといわれる「アルファード」「ヴェルファイア」が一部改良され、同年5月10日から発売されることが発表されました。そのなかで、ヴェルファイアのグレードが大幅に見直しされ1グレードのみになるといいます。ユーザーからの反響はどのようなものなのでしょうか。
現場からは「差別化したいニーズをカバーできないのでは」という声
トヨタの高級ミニバンといわれる「アルファード」と「ヴェルファイア」に一部改良が施されて2021年5月10日から販売が開始されました。
大きなトピックスとして、ヴェルファイアがこれまでの複数グレードから1グレードのみとなりましたがユーザーからはどのような反響があるのでしょうか。
アルファード/ヴェルファイアは、共通化された基本設計に仕様に加えて、価格帯が約350万円から約740万円と国産車としては高価格なモデルとして販売されていました。
2017年頃までの販売台数では、ヴェルファイアのほうが若干上回っている傾向にありましたが、2017年12月のマイナーチェンジによるフロントフェイス刷新や、2021年5月の全国における全店舗全車種併売化などにより大きく状況が変化し、アルファードは2020年度のミニバンジャンルで首位となる10万6579台(全体4位)を記録。
一方で姉妹車となるヴェルファイアの販売台数は1万4749台(全体41位)と、年間9万台以上の大差が付いています。
トヨタは以前から国内ラインナップを減少・整理をおこなう方針を打ち出しており、徐々に生産終了・車種統合・グレード整理が実施されています。
例えば、2019年には「マークX」と「エスティマ」、2020年12月「ポルテ/スペイド」、2021年3月に「プレミオ/アリオン」と「プリウスα」が生産を中止しました。
また、車種統合では、2020年9月に「タンク」が「ルーミー」に統合され、タンクのデザインはルーミーの一部グレードで残されています。
グレード整理では、2020年5月に「ヴォクシー」と「エスクァイア」において、グレード展開が整理されました。
これらの整理は、姉妹車間での販売格差が影響していることもあり、「売れていないほうが売れているほうに統合」という流れがあります。
また、この国内ラインナップの動きに合わせてトヨタが展開する4チャネル(トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店)を統合する動きもあり、2019年4月には東京地区の4チャネルがトヨタモビリティ東京というひとつの会社になっています。
これらの販売チャネルの変化や前述のように2020年5月からの販売車種併売化によって、チャネル毎の個性や独自性が弱まり、姉妹車などの存在意義も薄れていました。
そうしたなかで、今回のアルファード/ヴェルファイアの一部改良が実施されました。
一部改良の内容は、「ワンタッチスイッチ付デュアル(両側)パワースライドドア」や、「アクセサリーコンセント」が全車標準装備となったほか、アルファードでは特別仕様車の「 S“TYPE GOLD II”」が追加。
また、最上級グレードの「Executive Lounge、Executive Lounge S」に、後席からの視界を広げる可倒式の助手席ヘッドレストを採用しました。
そして、ヴェルファイアでは大幅なグレード整理がおこなわれ、特別仕様車の「GOLDEN EYES II」のみが残された形となります。
しかし、未だヴェルファイアを選ぶユーザーがいるのは事実です。今回のグレード整理では、どのような反応があったのでしょうか。
首都圏のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。
「今はアルファードのほうが圧倒的に売れており人気度も高いので、ヴェルファイアを検討していたお客さまも『じゃあアルファードで』という人が多いです。
しかし、なかには『売れているほうはみんなが乗っているから嫌だ、ヴェルファイアで差別化したい』というニーズがあります。
実際に、今回のヴェルファイアのグレード整理について多数のお問い合わせがありましたが、どうしてもほかの人と被るのが嫌とのことで、『アルファードにするならほかのモデルへ』という人は一定数いらっしゃいました。
みんなと違うほうがいい、というニーズは兄弟車の間ではよくあることなので、もしアルファードに1本化された場合には、今後そういったお客さまが離れてしまうのではないかという不安は残っています」
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前出の販売店以外にも、「大きな影響はないが、不安が残る」と話すスタッフは多かったため、ヴェルファイアを好むユーザーへ今後どのような対応が取れるかがユーザーを逃さないための課題といえそうです。
さっさとルーミー内のタンクみたいにアルファード内のグレードに統合した方がいい