BMW新型「M3」「M4」はどう進化? 510馬力を誇るコンペティションの実力とは
2021年1月に日本で発表された6世代目となる新型「M3」とクーペモデル「M4」の納車が始まった。コンペティションモデルは最高出力510ps・最大トルク650Nmを発生するS58B30型3リッター直列6気筒ツインターボエンジンを搭載、0-100km/h加速は3.9秒、最高速度は250km/h(リミッター)というパフォーマンスを誇る。新型M3/M4は、先代型と比較しどう進化したのか。細かく見ていこう。
M3史上はじめて異なる前後のタイヤ径を採用している
新型となったBMW「M3」(G80型。4ドアセダン)と「M4」(G82型。2ドアクーペ)が2021年春から日本でも発売になった。
E30型BMW「3シリーズ」の2ドアをベースとしてブリスターフェンダーを備え、2.3リッター直列4気筒エンジンを搭載した1985年デビューの初代から数えて6世代目にあたる。
通常はノーマルの3シリーズ、4シリーズをベースにフェンダーを膨らませて太いタイヤを履けるようにボディを変更しているが、今回はそれに加え、エクステリアデザインを大きく変えているのが特徴だ。
キドニーグリルは縦長のデザインにした4シリーズのものに似ているが、M3、M4は吸入空気量を多くするためにそれより少しワイドになっている。
走りの面では、前後でタイヤ&ホイール径を変えたのは6世代目が初めてのことだ。
M4クーペはフロントが18インチでリアが19インチ(275/40ZR18 103YXL、285/35ZR19 103YXL)、コンペティションになると前19インチと後20インチ(275/35ZR19 100YXL、285/30ZR20 99YXL)が標準になる。オプションで20インチと21インチ(285/30ZR20 99YXL、295/25ZR21 96YXL)も選択可能だ。
ボディサイズは全長4805mm×全幅1885mm×全高1395mmで、ホイールベースは2855mmになったから、先代M4(F82)全長4685mm×全幅1870mm×全高1390mm、ホイールベース2810mmと比べると若干大きくなっている。
ノーマルモデルに対してボディの補強をするのもMモデルの特徴だが、今回わかりやすいのはボンネットを開けたときに見える補強だ。
これまでは左右のストラットタワーをつなぐ横の補強バーか、ストラットタワーからバルクヘッドに向かってハの字につなぐ補強バーだったが、今回は横の補強バーとハの字の補強バーに加えてフロントのラジエター側に向かって逆ハの字の補強バーも入るという、見るからに頑強な状態になっている。
Mモデルはサーキットを走るマシンで一般道も走ることをコンセプトにクルマづくりをしている。その大きな特徴のひとつはMモデル専用エンジンにある。
第4世代までは自然吸気(NA)エンジンだった。
2.3リッターの直列4気筒エンジンから始まり、3リッター直列6気筒、3.2リッター直列6気筒、4リッターV型8気筒まで排気量を大きくするNAのアップサイジングの手法で、パフォーマンスアップを果たしていた。
方針転換は第5世代からで、3リッター直列6気筒に2基のターボチャージャーを付けたダウンサイジングターボエンジンを採用した。エンジンコード「S55B30」と呼ばれるM3とM4用エンジンは、高回転時や大トルク発生時のシリンダーのブレをなくすクローズドデッキに久しぶりに戻った。
ノーマルは431ps、「コンペティション」は450ps、「CS」は460psまではチップチューンでできた。しかしここがこのエンジンの限界だった。
ところが最初からロールケージを組み込んだ2シーター仕様の「GTS」では500psを発生できた。GTS専用エンジンのハイパワーの秘密は、ウォーターインジェクションだ。燃焼室の温度を下げるためにトランク内に貯蔵したタンクから水をエンジンルームまで引っ張り、インテークマニフォールドに噴射して冷却したのだ。
これによって高負荷時のノッキングを防ぎ、耐久性も確保した。もちろんアクセル全開で500psを発生するような燃焼室温度が上昇しそうな条件のときだけ噴射する。もしタンクの水が無くなってもM4としてのパフォーマンスは発揮できる。
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