なぜ佐川急便の軽貨物EVは中国生産車? 商用EVで日本メーカーが消極的な理由

ESG投資に対する見解の違い?

 このように、海外生産、または海外メーカー、さらに日系でも基本設計が10年近く前のモデルなどが物流向けのEVの主流となっているのですが、なぜ日系メーカーがこうした分野で積極的に新車開発をおこなわないのでしょうか。

 そもそも、日本はもとより、世界各国の物流事業者が近年、一気にEVシフトに動き出した背景には2010年代後半から表面化したESG投資の影響が強くあります。

佐川急便で採用されることになったEVの軽貨物車(提供:ASF株式会社)
佐川急便で採用されることになったEVの軽貨物車(提供:ASF株式会社)

 ESG投資とは、「従来の財務情報だけではなくEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)要素を考慮した投資」(経済産業省)のことで、端的にいえば、
ESG投資は企業の株価を動かす大きな要因となっています。

 そうしたなか、事業の中核が輸送車を運用することである物流事業者にとって、EVシフトは株式市場に対してもっとも分かりやすい企業メッセージであるといえます。

 そのほかにも、営業車などで多くの車両を日常的に活用する大規模な企業でもEVシフトを模索する動きが加速しています。

 こうした社会状況を踏まえて、電力事業であり、EVなど電動車向けの充電インフラ事業を担う東京電力が中心となり、「電動車活用推進コンソーシアム」を2020年5月11日に立ち上げています。

 立ち上げ初期の企業メンバーには、すべての国内大手電力企業、トヨタ、日産、ホンダ、三菱などの自動車メーカー、NTT、日立、そのほか金融関連企業など40社以上が名を連ねています。

 コンソーシアムの中核を担う東京電力 EV推進室にも直接取材しましたが、「運営委員会のなかに作業部会があり、そのうちのひとつとして、車両仕様を共通化したEVについて、参加企業からヒアリングしたうえで自動車メーカーに提案していきます」と説明します。

 車両のサイズでは「軽自動車サイズのEVが現実的」という声が挙がっているそうです。

 交渉先の具体的なメーカー名は明らかにされていませんが、たとえば日産と三菱が量産化に向けて共同開発中の軽EV「IMk」が候補であると考えるのが自然だと思います。

 こうした動きと並行して、佐川急便やヤマト運輸は各社が独自規格の小型商用EVを開発し、早期の実用化に移行しているという状況です。

 このほか、直近でEV関連での規格共通化の動きといえば、2021年4月1日に設立された、一般社団法人「電池サプライチェーン協議会」があります。

 現時点、車載向けリチウムイオン二次電池市場は中国が過半数を占め、それを韓国が追いかけ、日本は世界第三位に甘んじている状況です。

 物流事業者の間で先行導入が進む商用EVですが、今後は日系自動車メーカーが電池の日本メーカー製の電池使用を含めたオールジャパン体制へとシフトする可能性があり、その動向から目が離せないと思います。

【画像】工夫が満載! 中国で製造される佐川急便のEV軽貨物車(27枚)

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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2件のコメント

  1. バス車体会社が自動車メーカーになれん仕組みがある間は何をやってもダメだろな
    日本の自動車業界はウイスキーをグラスに満杯注いで一滴水を垂らして表面張力で水割りと言い張る悪酔い状態だからねw
    だから楽しい酒も飲めない、楽しい車も造れない。
    現実はEVどころじゃないんだろうね。
    N700Sを佐川車体が受注してJRに納品する時代が来るといいね。

  2. 結論はどこに書いてあるんですか?めちゃくちゃな文章ですね。

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