なぜヒットしなかった? スタイリッシュだけどマニアックな珍セダン5選

日産が誇るスタイリッシュな珍セダンとは?

●フォルクスワーゲン「サンタナ」

日本で生産されながら欧州デザインが評価されたセダンの「サンタナ」
日本で生産されながら欧州デザインが評価されたセダンの「サンタナ」

 1980年代初頭、日産とフォルクスワーゲンは業務提携契約を締結。その事業のひとつとして、日産はフォルクスワーゲンのグローバルセダン「サンタナ」を日本でノックダウン生産し、日産ディーラーでも販売することに合意します。

 ボディサイズは全長4530mm×全幅1690mm×全高1395mmと、本来は全幅が1710mmだったところを日本では3ナンバー車の自動車税が高額だったことから、外装パーツの一部変更で5ナンバーサイズに改められました。

 全体のフォルムは直線基調の伸びやかなスタイルで、欧州車らしいスタイリッシュな6ライトウインドウのキャビンが特徴です。なお、海外市場では5ドアのステーションワゴン「ヴァリアント」も設定されました。

 エンジンは2リッター直列5気筒と、1.8リッター直列4気筒、1.8リッター直列4気筒ディーゼルをラインナップ。1987年には最高出力140馬力を発揮するスポーティな2リッター直列5気筒DOHCエンジンも加わっています。

 サンタナはフォルクスワーゲンブランドの強みもあり、発売当初は好調なセールスを記録しました。しかし、好景が上向いていくと、「外車信仰」からもっと高級なBMWやメルセデス・ベンツに人気が集中し、サンタナの販売台数は減少。1990年に国内での生産を終了し、日産とフォルクスワーゲンの提携関係も解消されました。

 ちなみに、サンタナは中国ではベストセラーとなる人気ぶりで、現在もフィリピンでサンタナの名を冠したモデルが販売されています。

●日産「レパード」

先代から大きく変わったものの人気とはならなかった「レパード」
先代から大きく変わったものの人気とはならなかった「レパード」

 1980年に発売された日産初代「レパード」は、先進的なスタイリングの4ドア/2ドアハードトップのスペシャリティカーとしてデビュー。

 そして1986年に登場した2代目ではスタイリッシュな2ドアクーペにデザインを一新し、TVドラマシリーズ「あぶない刑事」の劇中車として登場したことから、若者を中心に高い人気を獲得します。

 しかし、1992年に登場した3代目では「レパードJ.フェリー」に名を変えて、ラグジュアリーセダンに変貌しましたが、デザインが酷評されたことから販売は極端に低迷。

 もともとレパードJ.フェリーは北米向けのインフィニティ「I30」として開発されたモデルで、デザインもアメリカ人の趣味嗜好に合わせたモデルだったのです。

 そこで、日本市場独自のモデルとして4代目が1996年に登場。再びレパードに車名を戻し、9代目「セドリック」系をベースとするモデルへと生まれ変わりました。

 外観はスポーティさを強調した印象のフロンフェイスとキャビンデザインを採用した4ドアハードトップで、ボディサイズは全長4895mm×全幅1765mm×全高1425mmとセドリック/グロリアよりも25mm長く、実際に伸びやかなフォルムとなっています。

 エンジンは新世代の「VQ型」がメインユニットとなり、トップグレードには最高出力270馬力を誇る3リッターV型6気筒ターボを搭載。

 こうして先代のイメージから劇的に変化したレパードですが、販売台数は期待されたほど増えず、2000年に生産を終了して、レパードはこの代をもって消滅しました。

※ ※ ※

 バブル期のマツダと同様に1980年代から1990年代当時は、各メーカーともラインナップの拡充がかなりエスカレートしていました。

 しかも、グローバルで展開されない日本市場専用車も数多く存在しており、それだけ内需のパワーがあったということです。

 近年は車種整理も一段と進み、さらに軽自動車以外はグローバルで販売するのが当然となっているため、ユニークなモデルがなかなか見られなくなってしまったのは寂しいところです。

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