なぜヒットしなかった? スタイリッシュだけどマニアックな珍セダン5選

クルマの外観は販売台数を左右する重要な要素のひとつですが、デザインに正解はありません。見た目というのはあくまでも主観であり、優劣よりも好みが優先されるからです。一方で、スタイリッシュなエッセンスを持ちながらヒットに至らなかったクルマも存在。そこで、スタイリッシュだけどマニアックな珍セダンを、5車種ピックアップして紹介します。

いま見てもかなりイケてるセダンを振り返る

 現在、人気の低迷が続いているセダンですが、1990年代までは各メーカーとも主力のカテゴリーとあって、ラインナップも充実していました。

スタイリッシュなフォルムながら人気を獲得できなかったマニアックなセダンたち
スタイリッシュなフォルムながら人気を獲得できなかったマニアックなセダンたち

 そんな数多くラインナップされていたセダンのなかには、スタイリッシュなデザインの要素を持ちながら、ヒットに至らなかったモデルが存在します。

 クルマのデザインは販売を左右する重要なポイントですが、ユーザーの主観によって判断されるため、人気とならなかったクルマはユーザーには好まれなかったということかもしれません。

 そこで、いま見るとスタイリッシュと評されても良さそうなデザインにもかかわらず、ヒットしなかったマニアックな珍セダンを、5車種ピックアップして紹介します。

●三菱「エメロード」

有機的なデザインがユニークな4ドアハードトップの「エメロード」
有機的なデザインがユニークな4ドアハードトップの「エメロード」

 かつて、三菱を代表するセダンとして長い歴史を刻んできた「ギャラン」は、6代目までは一貫してスクエアなボディでしたが、1992年に発売された7代目では時代の流れから全車3ナンバーサイズとなり、流麗なフォルムへと変貌します。

 この7代目ギャランをベースに、スタイリッシュな4ドアハードトップのボディとしたのが「エメロード」で、1992年に発売されました。

 エメロードは曲面を多用した滑らかで伸びやかなルックスで、なかでもラウンドしたユニークな形状のヘッドライトを採用したフロントフェイスと、ガーニッシュと一体となった長円状のテールランプが配置されたリアビューが、独創的な見た目を演出。

 ボディサイズは全長4610mm×全幅1730mm×全高1380mmと、全高が7代目ギャランの1410mmより低く抑えられており、ロー&ワイドなフォルムは美しいと評されました。

 エンジンは1.8リッターから2リッターまで4種類が設定され、トップグレードには170馬力を発揮する2リッターV型6気筒を搭載。ギャランVR-4のような高性能グレードは用意されていません。

 そんなエメロードはバブル景気だった頃に企画・開発されたと思われ、ちょうど三菱もラインナップの拡充をおこなっていた時期にデビューしましたが、販売が伸び悩んだことから1996年に生産を終了。いまでは走っている姿は、まずお目にかかれないほど激レアなモデルです。

●マツダ「ペルソナ」

美しいと評された外装だけでなく内装もこだわった「ペルソナ」
美しいと評された外装だけでなく内装もこだわった「ペルソナ」

 1980年代の終わりに好景気という背景から、マツダは車種の拡充を開始。そして、1988年に「カペラ」をベースとした4ドアピラーレスハードトップの「ペルソナ」を発売します。

 外観はカペラのイメージを受け継ぎながらも、角を丸めることで全体的にやわらかな印象です。また、Bピラーを排除したことで、開放感がある斬新なデザインのキャビンが実現されました。

 ボディサイズは全長4550mm×全幅1695mm×全高1335mmと、デザインの妙でサイズ以上にワイドな印象です。

 内装は非常に贅沢かつ凝っていて、高級感を演出するラウンジソファータイプのリアシートとし、シートや内装表皮の半分以上を革張りとするグレードを設定。

 今では考えられませんが、ダッシュボードのデザインを優先するためにグローブボックスを排除するほどのこだわりようでした。

 搭載されたエンジンはカペラと同じ2リッターと1.8リッターの直列4気筒で、パワーは2リッター車で140馬力と、このクラスでは標準的なスペックですが、「シルキースムース」と表現されるほどドライブフィールも重視されていました。

 1989年にはユーノスブランドから姉妹車としてユーノス「300」が発売されましたが、小さな高級車に対するニーズもバブル経済の終わりとともに消え去ったことで販売は低迷。ペルソナ、ユーノス 300ともに、1992年に生産終了となりました。

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●ホンダ「アスコットイノーバ」

スポーティなフォルムながら人気とはならなかった「アスコットイノーバ」
スポーティなフォルムながら人気とはならなかった「アスコットイノーバ」

 ホンダのセダンラインナップは、長い間フラッグシップの「レジェンド」、ミドルクラスの「アコード」、コンパクトモデルの「シビック」によって構成されてきました。

 これら王道セダンに加えて数多くの派生車も展開されており、そのなかの1台として1992年に発売されたのがスポーティセダンの「アスコットイノーバ」です。

 アスコットイノーバは、アコードの姉妹車である初代「アスコット」の派生車として開発されました。

 ボディサイズは全長4670mm×全幅1695mm×全高1380mm(2リッターエンジン車)とアスコットに準じたミドルクラスでしたが、外観のデザインはまったく異なり、Cピラーの傾斜を寝かしたクーペスタイルの流麗なフォルムを採用。

 フロントフェイスも比較的オーソドックスなアスコットに対し、4代目「プレリュード」にも似たアグレッシブなデザインとなっています。

 搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒SOHCとDOHC、2.3リッター直列4気筒DOHCの3種類で、2.3リッター車は最高出力165馬力を発揮。
 
 足まわりはアコード譲りの4輪ダブルウィッシュボーンとされ、優れたハンドリングを実現しています。

 しかし、アコード/アスコットよりもスポーツ志向だったアスコットイノーバですがヒットには至らず、1996年に一代限りで生産を終えました。

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