後輪がなぜ浮いている? 大型トレーラーで見かける「リフトアクスル」が普及した理由とは
「働き方改革」がリフトアクスルの普及を後押し
リフトアクスル機能の普及が拡大するトレーラーですが、その背景には運送業界の大きな課題が関係しているようです。
前出の担当者は、リフトアクスル機能の普及要因について以下のように話します。
「リフトアクスルはもともとエアサスペンションを備えるトレーラーが一般的だった欧州でまず普及され、日本でも導入されるようになりました。
その後、機能が搭載されたトレーラーの普及は増加傾向にあり、とくにここ数年でその数を急速に伸ばしています。
その理由としてはドライバー不足や働き方改革が要因といえるでしょう。
空荷で回送する際に高速道路を利用する企業が増えており、運送会社にとって回送は利益を生まないので、ドライバーの拘束時間を減らし、できるだけコストを下げたいという意識が働いているといえるかもしれません」

トラックドライバーの就業者は中高年齢層の割合が高い傾向にあり、そして長時間労働でありながらほかの職業に比べ賃金が低いため、ドライバー不足が深刻化しています。
国土交通省が発表している「トラック運送業の現状についての資料」の2018年4月の有効求人倍率の推移を見ると、全職業の数値が1.35倍に対し貨物自動車運転手は2.68倍です。
通常、企業の求人が多く1倍を超えて高くなれば仕事を見つけやすい状況となるため、物流業界では募集しても応募自体が少ないということが分かるといえます。
そんななか、こうした人員不足の問題を含め物流の効率化を図る観点から、2015年3月に道路運送車両保安基準、車両の通行の許可の手続きなどを定める省令が改正されました。
具体的には、バン型などのセミトレーラーを牽引するトラクターの駆動軸重や、トレーラー自体の長さが引き上げなどの変更が見受けられます。
こうしたトレーラー自体の大型化が進むことで、輸送効率の向上や運行台数を減らすことでドライバー不足の軽減などの効果が期待されています。
全日本トラック協会が作成した「トレーラー大型化による輸送効率化促進ハンドブック」という資料では、前述の効果に加えタイヤのリフトアップ機能についてもメリットのひとつとして挙げています。
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物流を担うトレーラーは、人々の生活になくてならず経済活動を活発にさせるための重要な産業です。
今後の日本の経済が滞ることがないようさまざまな観点から改善が施され、タイヤの後輪が上がっている理由も創意工夫のひとつといえるでしょう。
※記事初出時より、記事タイトルに誤字がありましたため訂正いたしました(22日午前10時00分)
Writer: Peacock Blue K.K.
東京・渋谷を拠点とするオンライン・ニュース・エージェンシー。インターネット・ユーザーの興味関心をひくライトな記事を中心に、独自の取材ネットワークを活用した新車スクープ記事、ビジネスコラム、海外現地取材記事など、年間約5000本のコンテンツを配信中。2017年創業。























