新設補助金追加で新車が約125万円もお得に!? 「今が買い時」も新型EV登場は予算枯渇前に間に合う?
2035年までに国内販売の新車100%電動化を目指す国の方針にあわせて、EV(電気自動車)の補助金が拡充されてきています。しかし、2021年度の補助金制度の予算が早期に尽きてしまうことも危惧されているといいます。果たして、EVの買い時は今だといえるのでしょうか。
早期に補助金の予算が尽きる可能性がある? その根拠は
このところEV(電気自動車)など電動車に関する各種の公的補助金が拡充してきました。これをうまく組み合わせると、ユーザーにとって新車購入でかなりお得になるようです。ということは、EVの買い時は今だといえるのでしょうか。
まずは日系メーカーでもっとも販売台数が多いEVである日産「リーフ」のウェブサイトを見ると、2020年12月後半から新たなバナーが貼ってあり、「国の補助金80万円(最大)」とあります。
そこの“交付には条件があります。詳しくはこちら”をクリックすると、搭載バッテリーが62kWhと大きいリーフe+ Gグレード(2WD)を、東京都在住で年齢が65歳以上の人が購入する場合の試算が表示されます。
この場合、国の補助金が80万円(最大)、エコカー減税が4万8500円、東京都の補助金が30万円、サポカー補助金が10万円となり、合計で最大124万8500円も優遇されるという計算です。
また車両とV2HやV2Lの機器を同時購入するとさらにお得、という表記があるのですが、これはどういうことなのでしょうか?
こうした各種補助金の全体像を把握するのは、ユーザーにとって少々分かりにくい印象があります。
そこで、日産が報道陣向けに「令和2年度 第三次補正予算 EV新補助金について」という名目で実施したオンライン説明会に参加し、詳しい話を聞いてみました。
では、日産の説明に沿って順に話を進めます。
まずはEV新補助金が生まれた背景ですが、菅政権が掲げる2050年カーボンニュートラルに向けた、2035年までに国内販売の新車100%電動化という「グリーン成長戦略」の影響が色濃くあります。
これまでは、国がクリーンエネルギー自動車(CEV)と呼ぶEV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車、そしてクリーンディーゼル車について、国が予算計上した新車購入時の補助金を、一般社団法人 次世代自動車振興センターを業務の窓口として配布してきました。
これは、一般的にCEV補助金と呼ばれていますが、これも今後、予算があるうちは継続されます。
また、税金の優遇措置であるエコカー減税についても同じく、当面が継続の方向です。
これらに加えて、令和2年度 第三次補正予選で新設された補助金がふたつあります。
ひとつは環境省の再生可能エネルギー電源に関する補助金です。正式な事業名称は「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボン ライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」といいます。
もうひとつは経済産業省によるもので「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」といいます。
予算について環境省のものは80億円、経済産業省のものは37億円です。
ただし、日産関係者は「環境省と経済産業省の補助金は、来年度の上期中に使い切る可能性が高く、今秋に市場導入予定の新型アリアの発売時期には間に合わないかもしれない」と推測しています。
その根拠として挙げたのが、昨今のパワーコンディショナー販売数の推移です。
業界でシェアがもっとも高いニチコン製のV2H向けで見ると、2018年度で約200台、2019年度で約800台、そして2020年度で約1800台と販売が右肩上がりになっています。
これは、いわゆる卒FITと呼ばれる、再生可能エネルギーの固定買取制度(FIT)の契約終了が2019年から順次進んだことや、全国各地での豪雨災害による長期の停電、さらにコロナ禍となり有事に対する日頃の備えに対するユーザーの意識転換などが背景にあります。
日産関係者は「リーフの2020年度販売総数は、コロナ禍での(生産と販売の)影響もあり約1万台を見込んでいますが、ニチコン製のパワーコンディショナーが1800台というのは(単純計算で)その2割近いという高い数字です」と指摘します。
そのため、今回新設されたV2HやV2Lの関連機器購入を伴う各種補助金も早々になくなるのではないかという見立てです。
一方でリーフはガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の人気モデルと比べると、リセールバリュー(下取り価格)の経年による低下が大きいという課題があります。
これについて筆者(桃田健史)から日産側に質問したところ「その点は日産として十分承知しており、そのうえで、(リーフ搭載の電池をリユース・リサイクル・再販する)4Rエナジー社の事業を拡充していきます」と説明しました。
EV事業全体の出口戦略を明確化することで、リーフのリセールバリューを向上させ、その結果としてリーフの新車販売を伸ばすため、さらなる検討を進めているといいます。
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