出せば売れる時代だった? 全盛期を彩った新興セダン5選
世相を見事にキャッチアップした2台のセダンとは!?
●三菱「ディアマンテ」
現在、日本の自動車税は、登録車の場合は排気量で税額が区分されていますが、かつてはボディサイズでも区分が変わり、3ナンバー車は贅沢という思想のもと高額な自動車税が課せられたのです。
そこで1989年に税制が改正されるとボディサイズは関係なくなり、現在の排気量に応じた税率へと変更され、さらに排気量の区分も細かくなって2リッターを超えるクルマは減額されました。
こうした減税を念頭に開発され、1990年に登場したのが三菱のアッパーミドルクラスセダン「ディアマンテ」です。
全車3ナンバーサイズのボディで、エンジンは2リッター、2.5リッター、3リッターとすべてV型6気筒を搭載。とくに主力だったのが、新たな税制をキャッチアップした2.5リッターモデルです。
外観は精悍な印象の逆スラントを採用したフロントフェイスが特徴で、流麗なフォルムの4ドアハードトップボディは、ライバル車が5ナンバーサイズを前提に設計されているなか、ディアマンテは3ナンバー専用としたことで伸びやかなデザインが可能でした。
発売当初から幅広い年齢層のユーザーから支持され、5年足らずの期間で20万台を超えるセールスを記録。
1995年に2代目へとモデルチェンジしましたが、ライバルも多くなって、三菱の不祥事も重なり人気は徐々に低迷。それでも10年も販売を続け、2005年にディアマンテは生産を終了し、消滅しました。
●ホンダ「アコードインスパイア」
ホンダは現行モデルでも「アコード」と「レジェンド」をラインナップしていますが、1989年にアコードとレジェンドの間に位置する4ドアハードトップセダンの「アコードインスパイア」を発売。
その名のとおりアコードの派生車ですが、より上級なセダンとして開発されました。
ボディは全長4690mm×全幅1695mm×全高1355mm、ホイールベースは2805mmとロングホイールベースの伸びやかなデザインが特徴で、低く構えた高級感のあるフォルムとなっています。
エンジンはFF車として理想的な前後重量配分とするために、フロントミッドシップに縦置きに搭載。
2リッターと2.5リッター直列5気筒を採用したことで、アコードのスポーティ路線と異なる多気筒化による高い静粛性と滑らかな回転の上昇を実現しました。
ほかにも内装に天然木、本革、エクセーヌなど上質な素材を惜しみなく使うことで、本物指向の上品で贅沢な味わいを表現。まさにバブル経済絶頂期の賜物です。
アコードインスパイアは洗練されたデザインと、優れた走りからスマッシュヒットを記録。
1992年にはボディを拡大して3ナンバー専用車となる「インスパイア」を追加し、1995年には2代目がインスパイアに統一されてさらに代を重ね、5代目が2012年まで販売されました。
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セダン全盛期のモデル振り返るとどれも個性あふれるクルマで、全盛期というのは時代の潮流だけではなく、魅力的な車種が数多くあることで形成されたのかもしれません。
そうなると、売れないから作らないという現在の流れでは、セダン復活はかなりハードルが高いといえます。
欧州では日本よりもセダンが人気で、ラインナップも豊富ですが、直近ではコンパクトSUVのシェア拡大が顕著になってきました。
今後、日本で買えるセダンは、ますます減少してしまうのではないでしょうか。
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