出せば売れる時代だった? 全盛期を彩った新興セダン5選
現在、SUV人気はますます高まりをみせていますが、以前もRVブームやステーションワゴンブーム、ミニバンブームと、人気のクルマは移り変わってきました。そんななか、セダンは次第に人気が低迷していきましたが、1980年代から1990年代はまだまだ堅実に売れていた時代です。そこで、セダンが隆盛を極めていた時代に登場した新興のモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
市場を席巻していた頃に誕生した新興セダンを振り返る
トヨタ「クラウン」のクロスオーバー化が噂され、同じくトヨタの「アリオン/プレミオ」が2021年3月末での生産終了が伝えられるなど、2021年もセダンの凋落が続いています。
しかし、これは今に始まったことではなく、じわじわと進行してきました。
時代によって人気のクルマは変わってきており、かつてはRVブーム、ステーションワゴンブーム、ミニバンブーム、そして現在はSUVや軽ハイトワゴンが隆盛を極めています。
規模に違いはありますが、人気となるジャンルのクルマはニーズの変化よって決まることもあり、どんなに優秀なクルマでも、売れない時は売れないものです。
前述のとおり今はセダンが売れていませんが、1980年代から1990年代は全盛期を迎えており、各メーカーとも古くから販売しているモデルだけでなく、次々と新型車を発売。
そこで、セダン人気がピークだった頃に登場した新興モデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「セルシオ」
トヨタが世界の高級車市場に参入するために新たに設立したプレミアムブランド「レクサス」。そのフラッグシップとして開発されたまったく新しいラグジュアリーサルーンが「LS」で、国内仕様がトヨタ「セルシオ」です。
初代が登場したのは1989年のこと。当時のトヨタの高級車には歴史あるクラウンが既に存在し、VIP向けとしては「センチュリー」がありました。
セルシオはその両車の間を埋めるポジションで開発。全長4995mm×全幅1820mmという堂々たるサイズのボディに4リッターのV型8気筒エンジンを搭載しています。
特徴としては、欧州の高級車のような高性能でありながら、日本車ならではの信頼性や快適性、そして品質の高さも追求していることです。
なかでも静粛性と内外装の組み上げ精度は群を抜いており、欧米のライバルを震撼させたといわれています。
その後、1994年には2代目に、2000年には3代目へとモデルチェンジしたセルシオですが、2005年から日本でもレクサスブランドが展開されることになり、4代目にあたるモデルからはLSとして販売。2006年にセルシオの歴史は3代17年で終焉を迎えました。
セルシオはトヨタのものづくりの基準を変えるほどの渾身の作で、いまも語り継がれる存在です。
●日産「プリメーラ」
かつて日産のセダンというと、「プレジデント」を頂点に「セドリック/グロリア」「ローレル」「スカイライン」「ブルーバード」「サニー」など、多彩なラインナップであらゆるユーザー層に対応していました。
そんななか、1990年に登場した突如登場した5ナンバーサイズのセダン「プリメーラ」は基本性能に磨きをかけ、セダンの原点に迫ったモデルといえます。
プリメーラは一見すると何の変哲もないFFセダンに見えましたが、「走る・曲がる・止まる」という走行性能の基本を追求すると同時に、使い勝手や居住空間といった実用性も徹底して考慮した設計がなされました。
搭載されるエンジンは、1.8リッターおよび2リッターの直列4気筒DOHCで、2リッターでも最高出力は150馬力と突出して高性能だったわけではありません。
しかし、優れたハンドリングと高い走行安定性、スタイリッシュで飽きのこないデザイン、広い室内と荷室などが相まって、2代目へとモデルチェンジするまでの約5年間で、33万台以上を販売するスマッシュヒットとなります。
なかでも注目されたのが足まわりで、フロントのマルチリンクサスペンションがもたらすハンドリングは、欧州車を超えたと評価されるほどの出来栄えでした。
その後、1995年に登場した2代目は、初代からのキープコンセプトとしましたが初代ほどのインパクトは無く、ヒットには至らず。近未来的なスタイリングとなった3代目は意欲作でしたが、すでにセダン人気は低迷しており、やはりヒットせずに、2005年をもってプリメーラは消滅しました。
●ユーノス「500」
マツダ5チャンネル時代のプレミアムブランド「ユーノス」から、1992年に発売されたミドルクラスセダンがユーノス「500」です。
500は「クロノス」5兄弟のうちの1台で、全長4545mm×全幅1695mm×全高1350mmと5台のなかで唯一の5ナンバーサイズでした。
最大の特徴は外観で、国産車離れした美しさがあり、ボディは曲面で構成された妖艶な印象です。
搭載されるエンジンは1.8リッターおよび2リッターのV型6気筒DOHCで、後に4気筒版の1.8リッターも追加されましたが、プレミアムブランドらしい贅沢な設定といえます。
また、クルマのボディを塗装してから、バーベキューの肉のように回転させて焼き付け、乾燥、塗装することで厚い塗装の膜を形成し、鮮やかで深みのある色と濡れたような輝きを実現させた塗装技術「ハイレフコート」を採用するなど、かなりコストをかけていました。
500は高く評価され販売も立ち上がりは順調でしたが、モデルライフ後半は苦戦。マツダの業績悪化もあって車種整理の対象だったことから、1996年に一代限りでユーノスブランドごと姿を消しました。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。