「なぜトヨタは強いのか」 他社も新型車投入相次ぐ中、トヨタ一強時代が到来する訳

2020年の登録車販売台数では、上位10台中7台がトヨタ車となっていました。近年、ボディタイプ別などにおいてもトヨタ勢が強みを見せていますが、なぜトヨタ一強の時代が到来したのでしょうか。

軽自動車を除いて強みを持つトヨタの全方位戦略

 昨今の国内における新車市場では、とくに登録車においてトヨタ一強ともいえる状態が続いています。
 
 日産やホンダ、マツダ、スバル、三菱もそれぞれ魅力的な新型モデルを投入しているものの、販売台数上位のほとんどはトヨタとなっていますが、それは単なる販売力の差だけなのでしょうか。

2020年の登録車年間販売台数にて首位となったトヨタ「ヤリス」。ハイブリッド車では世界トップクラスの燃費性能を誇る!
2020年の登録車年間販売台数にて首位となったトヨタ「ヤリス」。ハイブリッド車では世界トップクラスの燃費性能を誇る!

 2020年の登録車年間販売台数において、1位トヨタ「ヤリス(15万1766台)」、2位トヨタ「ライズ(12万6038台)」、3位トヨタ「カローラ(11万8276台)」、4位ホンダ「フィット(9万8210台)」、5位トヨタ「アルファード(9万748台)」、6位トヨタ「ルーミー(8万7242台)」、7位ホンダ「フリード(7万6283台)」、8位トヨタ「シエンタ(7万2689台)」、9位日産「ノート(7万2205台)」、10位トヨタ「ヴォクシー(6万9517台)」となり、10台中7台がトヨタ車という結果でした。

 この販売台数は、一般社団法人日本自動車販売協会連合会が公表しているもので、「ブランド通称名」を合算しています。

 例えば、ヤリスの場合、ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス。カローラの場合、カローラ/カローラツーリング/カローラスポーツ/カローラアクシオ/カローラフィールダーを合算した台数です。

 また、毎月上旬に公表されますが、実際には当月の販売台数ではなく登録(ナンバー取得)の台数となり、一概に比較出来るものではありません。

 しかし、それでも売れているモデルには代わりはないため、この公表データを元に「売れた/売れていない」が判断されているのです。

 そうしたなかで、トヨタ勢が上位を占める理由として、ラインナップのバランスが挙げられます。

 国産メーカーはそれぞれ強みを持つジャンルがあり、軽自動車であればダイハツやスズキ、近年では「N-BOX」などが好調なホンダ。

 SUVではマツダが「CXシリーズ」を展開してラインナップ数が豊富なほか、三菱やスバルは以前から4WD性能に定評がありました。

 また、日産は「ノート」や「セレナ」、「キックス」といったモデルにエンジンを発電機として用いるe-POWERが好評です。

 このようにそれぞれ強みを持つ国産メーカーですが、トヨタはどうなのでしょうか。

 トヨタは、パワートレインにおいては1997年に世界初の量産ハイブリッド車として投入した「プリウス」以降ハイブリッド車のラインナップを拡充。

 ボディタイプでは、その時代のニーズに合わせて変化させており、近年ではSUV人気もあり、2021年現在で7車種。また、燃料電池車という部分では「ミライ」など多方面に強みを持っています。

 また、ボディタイプにおいてトヨタは軽自動車をダイハツからOEM供給されている以外、前述の販売台数ランキングのようにコンパクトカーではヤリス、コンパクトトールワゴンではルーミー、SUVではライズやヤリスクロ、ハリアー、ミニバンではコンパクトなシエンタからアルファード、セダンやワゴンではカローラシリーズとバランス良くラインナップしているのです。

 こうしたラインナップにおいて、首都圏のトヨタ系販売会社の担当者は次のように話しています。

「一般的にクルマを購入する際、同じような価格帯やコンセプト、パッケージを持った他社の競合車と比較されます。

 そうした場合、他社との値引き競争などが起こり、場合によっては他社の競争車を購入されます。

 しかし、最近のトヨタではブランド内のラインナップが豊富なことから、トヨタ内で比較検討される人が増えています。

 また、全国で全車種の取り扱いが開始されたことで、お客さまはどの店舗に行っても自由にトヨタ車を選ぶことが出来るようになりました。

 これにより、これまで近くの店舗で購入やメンテナンスが出来なかったお客さまなどには近くで済ませられるというメリットも出ています」

※ ※ ※

 トヨタは、以前から現在の国内ラインナップ数を半減させるという方針を打ち出しています。

 2019年には、「マークX」や「エスティマ」、2020年9月にはルーミー/タンクがルーミーに統合、同年12月には「ポルテ/スペイド」が生産終了、2021年3月には「プレミオ/アリオン」、プリウスαが生産終了と、ラインナップの整理が始まっています。

 今後も売れている車種にラインナップは絞られると見られますが、それでもトヨタブランドのラインナップはバランス良く揃っているため、今後もこの方程式が強さを発揮し続けるといえそうです。

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1件のコメント

  1. 販売店舗数が多いのも確かに強さの理由ではあるけど、
    そこに供給する生産規模の大きさもまた強みでしょうね。
    複数の人気車種を月1万台以上生産し国内登録販売出来る体制を持ってるのはトヨタだけと言える、
    他社では予想以上に人気になれば納車待ちが長期化する為、
    月販数が伸び悩みたとえ人気があってもこのランク上位に上がってこれない事もある訳です。

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