10年で世界最大規模へ急成長! 中国の電気自動車市場に学ぶ成功の鍵とは

電気自動車市場発展における政府介入の重要性を考える

 一方で、中国の電気自動車市場は印象的な成長を記録していながら、昨年は落ち着きを見せており、2025年までに新車の25%を新エネルギー車(NEV)にするという野心的な目標とは、少し距離があるのが現状となっています。

 この減速の理由は、政府による過去数年にわたる補助金の減額があります。欧州の電気自動車市場はますます力を付けてきていますが、この中国市場の停滞は、ひとつの疑問を生む結果となりました。中国の成功は、政府による手厚い介入によってのみ作り出されたのでしょうか。

 販売データが減速の兆しを示しているにもかかわらず、補助金が一度完全に無くなったとしても、中国の電気自動車市場は競合国をはるかに凌駕することは明確です。実際に、中国において電気自動車は138モデルが販売されていますが、欧州では60モデル、北米では17モデルに留まっています。

 中国の規制と補助金政策が、電気自動車市場での長期的な成功においてどれだけ影響を与えたのかという結果が見えるのは時間の問題となっています。しかし、いまのところ中国政府は電気自動車市場でこれからも成功し続けられるように努力をしており、税控除と補助金の延長、さらには2023年までの新エネルギー車(NEV)に対する新しいクレジットスキームを発表したことを受け、これからも中国の電気自動車市場は成長を続ける可能性は高いと考えられます。

JATOによる調査結果
JATOによる調査結果

 中国が世界の電気自動車市場で急速に力を付けることができたのには、ふたつの要因があります。ひとつ目は、500億ドルと推定される巨額の投資がおこなわれたこと。ふたつ目は、強力な干渉と中央集権的な戦略の組み合わせにより、製造業を支えるだけでなく、国内にまんべんなく行きわたるインフラ建設計画を実行したことです。

 しかしこの計画の一番の核心には、今日の電気自動車の優勢が、明日の中国の世界的な覇権につながるという根深い執念がありました。

 中国が電気自動車市場で優位に立つことができたのは、究極的には政府による手厚い介入のおかげであり、10年早送りして中国の電気自動車市場は世界最大となりました。そしてJATOのデータによると、2018年には年次として最大となる70万台以上が販売されています。

 さらに、電気自動車を推奨するだけでなく、消費者にガソリン車とディーゼル車をやめさせるための情け容赦ない手法が取られました。ひとつの例が上海でのナンバープレート交付で、ガソリン車では1台あたり1万3000ドルかかるものを、電気自動車では無料にしたのです。このようにして、電気自動車の利点をいとも簡単に生み出し、経済上の大きな刺激を生み出しました。

 中国の補助金政策と規制について詳しく見てみると、初めから中国は勝つつもりでおり、その野望を達成するまでは絶対に立ち止まらないであろうことは明らかです。他国の政府の介入と比較すると、欧州や北米で見られるような、軽い介入ではそれほど成功しておらず、例として中国は規模でも速度でも優位になるために、消費者に大幅な値引きを提供してきましたが、北米ではその代わりに販売された車両に対して、自動車会社に限定的な補助金を与えたのみでした。

 単純な事実として、電気自動車が高級車の価格帯であり続ける限り、消費者に乗り換えるための大きな動機は生まれません。つまり欧米の企業は、価格帯を手に入れやすいレベルにするための、新しく革新的な方法を考えなくてはならないのです。

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