10年で世界最大規模へ急成長! 中国の電気自動車市場に学ぶ成功の鍵とは

自動車産業の世界的な調査会社であるJATO Japan Limitedは、世界の電気自動車市場についての最新の白書と、中国市場から学ぶ教訓を公開しました。

約10年間で電気自動車市場を急成長させた中国から学ぶ教訓とは

 自動車産業の世界的な調査会社であるJATO Japan Limitedは、中国の電気自動車(EV)市場の現状を世界市場と比較、中国企業のこれまでの取り組みと成功を探求した最新の白書を公開しました。

中国メーカーが販売する電気自動車のイメージ
中国メーカーが販売する電気自動車のイメージ

 自動車の電動化競争において、中国は目標を高く掲げています。世界の自動車市場において優位な立場になる最短のルートは電気自動車にあると気付き、中国の自動車会社は電気自動車市場で強い立場を確保するための素早い動きを見せました。

 成長を続ける電気自動車市場の将来については、世界中の自動車会社の多くが心を悩ませているのが現状です。

 一方で、中国ではすでに地位を確立し始めていますが、政府の補助金が削減され始めたことによる冷え込みも見られ、競争はまだ終わってはいません。
 
 電気自動車の地域別販売シェアにおいて、欧州は中国の後塵を拝しているものの、世界ではすでに第2位の市場になっており、3番目の北米市場との差を大きく引き離しています。これは、欧州を中心とした地域で、各国政府が電気自動車の新車購入に向けての消費者への補助に注力することで初めて、市場が成長を見せ始めるということを示しています。

 そのため、欧州は近い将来、中国市場を上回る可能性が高くなってきているのです。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、経済的に苦戦している自動車会社への圧力を下げるために、政府が燃費基準を緩和したり、電気自動車のための補助金を削減するなどして、ほかの場所で使えるよう資金を確保する可能性が懸念されています。もっとも、これまでのところ、そういった事例は起きておらず、中国でも2020年内に打ち切り予定となっていた購入時の補助金を、金額をわずかに削減するに留まり、2022年まで延期されました。

 その効果もあり、感染拡大が世界経済に大きな影響を与えているなかでも中国市場での電気自動車の売上は底堅い。2020年1月から8月までの累計販売台数は昨年同期比でマイナス2%となっていますが、世界全体での販売台数がマイナス23%なのと比べればわずかな低下です。

 しかしながら、中国の政府による補助金は2022年に終了することになっているため、電気自動車の需要は鈍化し始めており、補助金が段階的に廃止されてしまえば、より一層落ち込むことが予想されます。それにもかかわらず、中国での電気自動車市場は今のところ拡大を続けており、多くの自動車会社が別の地域への進出を狙っているのです。

 2016年以降、中国は世界でもっとも早く、そしてもっとも大きな電気自動車市場へ成長しました。多くの要因が中国の優位性を高める原動力となっていますが、わずか10年で世界最大の電気自動車市場を生み出したのは、間違いなく補助金政策の組み合わせによるものです。

 中国政府は、自動車業界で世界的なリーダーになるためには、電気自動車にこそ機会があることに早くから気付き、欧米の競合他社に先駆けて電気自動車市場で中心に立つために、率先して取り組みました。

 政府は国家レベルで、電気自動車が経済成長の柱になる可能性があると認識していたため、事業者と消費者の両方に巨額の投資と補助金を与えてきたのです。自動車会社への補助金の給付は中国企業のみではありませんが、根本的な違いとしては輸入された電気自動車は補助金を受けることができず、関税がかけられることでした。

 国内に高品質な自動車メーカーを育み、国内の供給エコシステムを確立するための揺るぎない献身の元、政府は電気自動車スタートアップや部品製造会社から、充電設備ネットワークの構築までを、自信と需要を満たす名目でおこなってきたのです。

 このように中国が、政治に後押しされたアプローチにより、業界を活気づけようとしてきた理由には以下のふたつの重要な理由がありました。

1.中国の電気自動車市場を早期に成長させるため
2.国際的優位性を確立するため

 そしてこのアプローチは、いろいろな理由で大きな成功を収めたのです。

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