コロナ禍でも人気のボルボ 電動化を果たした「V60 B5」と「XC60 B6」に乗ってみた
2020年前半はコロナ禍で世界的にクルマの販売が落ち込んだものの、この数か月は前年同月比でプラスとなっている人気のブランドがボルボだ。その人気の理由のひとつが、全車を電動化するというコミットメントだろう。2020年10月21日には、V60、およびV90シリーズがパワートレーン変更、全車電動化を果たしている。今回、そんなV60とXC60の48Vマイルドハイブリッドモデル2台に乗ってみた。
SUVにない低重心で走りも乱れにくい「V60 B5」
ボルボは2017年、全車を「電動化」する最初のプレミアムブランドとなることを宣言した。
これは、動力源を内燃機関のみとする車両をなくし、すべてのモデルをプラグインハイブリッド車かハイブリッド車にするという意味だ。
そしてコミットどおり、すでにいくつかの電動化技術を取り入れたモデルが登場している。
そして今回は、このところ矢継ぎ早に投入されたなかから、48Vマイルドハイブリッドを搭載したV60の「B5」とXC60の「B6」の、いずれも「R-design」をレポートしよう。
従来の「T」から、ブレーキ回生を意味する「B」に置き換えたグレード名となったこのモデルには、バッテリーモジュールへの充電やエンジン始動、発進加速のアシスト、減速時の回生などを行なうISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)および0.5kWhの小さなリチウムイオンバッテリーが搭載される。
今回、「B」を冠したモデルとして、V60には「B4」と「B5」が、XC60には「B5」と「B6」がラインアップされた。
いずれもエンジンは2.0リッター直列4気筒ターボで、B4とB5はマップの違いでB4は197ps・300Nm、B5は250ps・350Nmと性能が差別化されており、さらに電動スーパーチャージャーを組み合わせる「B6」では、300ps・420Nmまで引き上げられる。
じつはエンジン自体も、シリンダーの表面処理などによる摩擦低減や気筒休止システムの導入など約90%が新設計され、より効率が高められていることもお伝えしておこう。
ボルボの代名詞でもあるエステートの最新世代であり、日本でも根強い人気を誇るV60は、今回の改良で装備やグレード体系が変更され、これまで現行V60に設定のなかった待望の「R-Design」が追加されたのもニュースだ。
グロッシーブラックのアクセントや18インチホイール、スポーツシートやスポーツステアリングホイールなど専用装備の与えられた、持ち前のエレガントさにスポーティなテイストが巧みに融合した内外装は、ワゴンもこれほどスタイリッシュになれるものかと感心する。
最近ではSUVに乗る機会のほうが多く、すっかりSUVに乗り慣れた身からすると、こうしてV60をドライブすると、低めのアイポイントはもちろん、ドライブフィールも低重心で姿勢が乱れにくいよさを実感する。
エンジン性能は十分で、回転をあまり落とさないよう心がけて走ると、上り勾配のつらなる箱根のワインディングもものともしない。新エンジンは、心なしか吹け上がりのスムーズさが増したように感じられ、10kW・40Nmとスペック的には控えめながら、ISGMの恩恵で加速力が微妙に上乗せされる感覚も心地よい。
専用のスポーツサスペンションも、さらにその良さを引き立てている。車両重量は1.8トン近くあるが、ドライブフィールは軽快そのもの。ステアリングにはしっかりとした手応えがあり、イメージしたラインを正確にトレースしながら、ワインディングをスイスイと駆けていける。V60の「B」の付くモデルは2WDのみだが、雨で濡れた路面でもなんら不安はない。かつてはV60のR-designというと乗り味がハードなきらいもあったが、これなら誰しもが満足できるに違いない。
なお、この機にV60のエントリーパワートレーンとして「T5」から「B4」に換装した「B4 Momentum(モメンタム)」が追加されたことも併せてお伝えしておこう。
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