まるでスーパーカーみたいなセダンがあった!? とんでもエンジンの珍セダン5選
高性能なエンジンを搭載したクルマといえば、スポーツカーやスーパーカーが定番ですが、セダンにも高性能なエンジンを搭載した例は、数多く存在。そこで、高級車にとんでもないエンジンを搭載したモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
今では滅多に見られないようなエンジンを搭載したセダンを振り返る
ハイパワーなエンジンを搭載したクルマといえば、スポーツカーやスーパーカーが代表的な存在ですが、必ずしもそれらのモデルだけとは限りません。
そのひとつがセダンで、これまでも数多くの高性能エンジンを搭載したモデルも存在。そこで、高級車なのにとんでもないエンジンを搭載したユニークなモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●キャデラック「CTS-V」
かつてアメリカの高性能車といえば、セダンやスポーツカーに限らず、大排気量のV型8気筒OHVエンジンを搭載するのが常識でした。
現在はだいぶ様変わりしており、ダウンサイジングされたエンジンにターボチャージャーを搭載しているモデルも増えています。
しかし、往年のマッスルカーを思わせる、大排気量エンジンにスーパーチャージャーを搭載したハイパーセダンがキャデラック2代目「CTS-V」です。
2008年に発売された2代目CTS-Vに搭載されたエンジンは、6.2リッターV型8気筒OHVスーパーチャージャーで、最高出力は649馬力を誇りました。
このパワーを後輪のみで路面に伝え、0-60mph(約96.5km/h)加速は3.7秒と、2トン近い車体を物ともしない加速力を発揮。
また、この大出力を受け止めるシャシもチューンナップされ、ブレンボ製ブレーキシステム、電子制御式LSD、減衰力をアクティブ制御するショックアブソーバなどが採用され、日常からサーキット走行までこなす実力を持っています。
外観では専用デザインのメッシュグリル、エアアウトレットの開いたカーボンファイバー製ボンネット、小ぶりなリアスポイラーなどを装備し、派手すぎない見た目ながらも高性能さを主張していました。
CTS-Vは日本にも正規輸入され、当時の価格1475万円(消費税込)です。ちなみに、日本仕様のトランスミッションは8速ATのみでしたが、アメリカでは6速MTも設定されていました。
●メルセデス・ベンツ「450SEL 6.9」
メルセデス・ベンツの高性能モデルというと、メルセデス-AMGブランドから数多く販売されていますが、かつては自社ブランドでも高性能モデルを開発していました。
そのなかの1台が、1975年に発売された「W116型 Sクラス」の最上級モデルの「450SEL 6.9」です。
車名のとおり6.9リッターV型8気筒SOHCエンジンを搭載し、3速ATを介しておよそ2トンの車体を225km/hへといざないました。
最高出力286馬力と現在なら平凡なスペックですが、56.0kg-mという大トルクを発揮していたため、いまほどハイグリップではないタイヤも相まって、アクセルワークにかなり気を使ったといいます。
ただし、本来はメルセデス・ベンツのフラッグシップとして、スムーズな乗り心地とハンドリングを実現したプレステージサルーンとしても、高く評価されていました。
なお、先代の「W109型」でも「300SEL 6.3」が存在し、スポーツカーを追い回せるスーパーセダンと呼ばれていました。
●ランチア「テーマ 8.32」
イタリアのランチアといえばスポーツカーや高性能モデルが日本では有名で、とくにスーパーカーブームの頃のランチア「ストラトス」は、当時の少年たちを夢中にさせました。
このランチアは庶民の足となるようなコンパクトカーやセダンも数多く販売してきており、なかでも1984年に登場したランチア「テーマ」は、同社のミドルクラスセダン/ステーションワゴンとして、欧州でヒットを記録。
巨匠ジウジアーロがデザインしたボディは、直線基調ながらも空力性能に優れたスタイリッシュなフォルムです。
そして、1988年に追加ラインナップされた「テーマ 8.32」には、とんでもないエンジンが搭載され、だれもが驚きました。
そのエンジンとは、最高出力215馬力を発揮する3リッターV型8気筒DOHCで、フェラーリ「308」のエンジンをデチューンして移植されたのです。
外観はベーシックなテーマとほとんど差異はありませんが、エンブレムとトランクに格納される電動式リアウイングが、ハイパフォーマンスカーであることをアピール。
内装は本革とウッドをふんだんに使った豪華な仕様で、高級セダンとして販売され、バブル期と重なっていたことで日本にも上陸しています。
832はクロスプレーンだよ。