一部を除き、ほとんどのコインパーキングでは、現地に管理人は駐在していません。そのため、なかには料金を払わずに出て行ってしまうドライバーがいるようです。

　2020年7月に、料金を支払わずにコインパーキングを利用したとして、容疑者が「威力業務妨害」の疑いで逮捕されました。

　これは、駐車場の不正利用によって、他の車両が利用できないことから、業務を妨害したという容疑です。

　警察の調べによると、容疑者は、2019年11月7日から2020年2月16日にかけ、東京都港区内の無人コインパーキング2か所で37回にもわたり、アクセルを踏むなどして無理やりロック板を乗り越える不正出庫をおこないました。

　その結果、支払いを免れた料金の合計は約107万円となったそうです。

　容疑者の供述によると、76時間30分間の駐車で9万8780円を請求されたことが、不正をはじめた理由のようです。

　また、過去にも同様の事件が起こっており、2019年3月には横浜市南区のコインパーキングで合計66回にわたる不正駐車をおこなったとして、会社員の男性が逮捕されました。

　前出の事例と同様に、「威力業務妨害」の疑いによる逮捕です。

　警察の調べによると、横浜市のケースは輪留めのようなものを利用して駐車場のロック板を乗り越え、料金を支払わずに出庫していました。

　逮捕に至る経緯は、まず、コインパーキングの料金を踏み倒すと、運営会社から内容証明郵便による料金請求の申し出が送付されます。

　なぜなら、多くのコインパーキングには監視カメラが設置されており、不正利用の現場が映像で残されているのです。

　その映像に残された車両ナンバーをもとに、犯行をおこなったドライバーが特定され、郵送による料金請求がおこなわれます。

　請求額の内訳は、未納金だけでなく、違約金やナンバープレートの調査費用なども含まれる場合があるようで、スムーズに支払いを済ませれば、そこで終了する一方、請求を無視し続けると、先述した事例のように、逮捕にいたるケースも考えられます。

　刑事事件となる場合、「威力業務妨害罪」あるいは「偽計業務妨害罪」に該当することが考えられ、威力業務妨害罪について、刑法で以下のように規定されています。

●刑法　第二百三十四条「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。」

　また、偽計業務妨害罪は、刑法で以下のように規定されています。

●刑法　第二百三十三条　「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」

　このように、コインパーキングの不正利用は、他のクルマが利用できなくなることから、営業妨害とみなされるため、上記の罪が適用されるのです。

　しかし、コインパーキングの不正利用問題は、刑事事件での立証が難しいことから、民事での請求が大半です。

　とはいえ、民事告訴に発展すれば、裁判の判決によっては多額の賠償金を請求される可能性が非常に高いといえるでしょう。