トヨタ「ハイエース」は駐車場のお得意様? 東京周辺から都心へ大集合する訳
最大料金設定は、建設工事が大きな要因となっている?
さて、こうしたハイエースが数多く止まっている時間貸駐車場には、共通の特徴があります。それは、「最大料金」が設定されていることです。
近年、タイムズや三井のリパークなど、全国各地で時間貸駐車場が増えるなか、この最大料金という言葉も一般化してきた印象があります。
時間貸駐車場は、その名の通り、一定の時間で駐車料金の上限を設定しています。
時間貸駐車場の料金体系は、都市部など需要が多い割には駐車する場所が少ない、「駐車場側の売り手市場」の場合、日中と夜間、また平日と週末で違いがあります。さらに、最大料金でも平日と週末で違いを持たせています。
とくに東京都心の場合、平日と週末との価格差が大きくなります。
例えば、港区内のA駐車場では、1日最大料金が平日は3600円で、日曜・祝日は1500円。平日の昼間は、20分間で300円の設定です。
そこから100mほどJRの駅に近いB駐車場では、1日最大料金は平日で4400円。その周辺で駐車スペースが少ないC駐車場では、平日15分間で400円となり、平日も週末も1日最大料金の設定がありません。
こうした時間貸駐車場の料金設定は、どのようにおこなわれているのでしょうか。
大手駐車場管理会社に聞いたところ「エリア毎の担当者が、定常的に現場に足を運んで周囲の状況の変化を記録し、社内で分析して料金を可変している」といいます。
駐車場管理会社は、駐車場の土地の地権者と管理契約を結び、料金設定については管理会社が自社のノウハウによって、状況をみて最適化するのです。
料金設定の基本は、その地域での相場を把握することです。さらに、駐車場の場所によって、料金に差をつけていきます。例えば、駐車場の収容台数、駅や商業施設など駐車の目的となる場所との距離などです。
その上で、曜日毎、時間帯でのデータを蓄積した上で、料金を微調整していきます。
また、前述した、周囲の状況の変化とは、周囲の駐車場の料金が変わること、また駐車場がなくなることなど、ライバル駐車場の動向です。
さらに興味深いのが、建設工事の動向が、駐車場料金設定にとって大きな要因である点です。
駐車場管理会社は「工事関係者はお得意様です」といいます。1日最大料金で平日はもちろん、工事の状況によっては週末も1日最大料金で貸切状態となるからです。
工事業者にとって時間貸駐車場は、単なる駐車場というより、自走して作るレンタルルームといったイメージでしょう。
状況にもよりますが、ビル建設工事などがあると、その周辺の時間貸駐車場の最大料金が値上がる可能性があります。
時間貸駐車場の料金は、さまざまな要因に基づく需要と供給のバランスによって決まるのです。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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