予想外に売れたトヨタ「RAV4 PHV」で潮目変わる? 日産「アリア」登場でSUVの電動化が加速?
2020年6月、7月に、トヨタは「RAV4 PHV」、日産は「キックス」、「アリア」と立て続けに電動パワートレインを搭載したSUVを発表・発売しています。なぜ、電動パワートレインを搭載するSUVが続々と投入されているのでしょうか。
新型「アリア」、新型「RAV4 PHV」はなぜ投入された?
日産は、「リーフ」に続く電気自動車(EV)として新型「アリア」を2020年7月15日に世界初公開。また、前月8日には、トヨタが「RAV4」の派生車となる「RAV4 PHV」を発売するなどSUVの電動化が加速している印象を受けます。
ひと言で電動車といっても、「ハイブリッド車」、「プラグインハイブリッド車(PHV/PHEV)」、「電気自動車(EV)」、「燃料電池自動車(FCV)」といった種類に分類することができます。
ハイブリッド車は、ガソリンエンジンの動力に加えて、バッテリーとモーターを動力とすることで、低速時などでは電気の力で走行し、加速時や高速時にエンジンの力、もしくはモーターのアシストによって走行する仕組みです。
1997年にトヨタが世界初の量産型ハイブリッド車(HV)となる「プリウス」を発売して以来、ボディサイズやタイプを問わず、多くのモデルに搭載され、現在ではガソリン車と二分する主流のパワートレインとなっています。
また、日産「ノート」や「セレナ」、そして2020年6月30日に発売された新型「キックス」などに搭載される「e-POWER」は、上記のハイブリッド車とは異なり、エンジンをモーターの発電機のみに使用する、いわゆるシリーズハイブリッド(レンジエクステンダーEVを含む)です。
プラグインハイブリッド車は、基本的な仕組みはハイブリッド車と同じですが、外部から給電することができるほか、バッテリー容量が大きいことで、EV走行の航続距離が長くなっているのが特徴。国産車では前出のRAV4 PHVをはじめ「プリウスPHV」や三菱「アウトランダーPHEV」などが展開されています。
電気自動車は、その名の通りエンジンを搭載せず、バッテリーに蓄えた電気で走るモデルです。前出のリーフやアリア、三菱「i-MiEV」、マツダ「MX-30」(国内未発売)、水素燃料から発電して走行する燃料電池車(FCV)のトヨタ「ミライ」などが挙げられます。
こうした電動車が展開されているなかで、直近では2020年6月にRAV4 PHV、キックス、アリアが登場していますが、なぜSUVの電動化がここにきて加速化しているのでしょうか。
自動車メーカーの技術担当者は、次のように話します。
「電動パワートレインを搭載するSUVが増えてきているのにはいくつかの理由があります。まず、欧州市場において2021年から燃費規制の強化を図ります。
これは、各メーカーの平均基準として、走行1kmにつき二酸化炭素の排出量を95g以下に抑えなければ、高額な罰金が科せられるもので、日本をはじめとしたそのほかの国や地域でも今後燃費の規制が強化される予定です。
そのため、各メーカーではこれまでハイブリッド車やディーゼル車で規制クリアを目指していましたが、欧州の規制はそれだけではクリア出来ないこともあり、ハイブリッド車やディーゼル車よりも低燃費となるプラグインハイブリッド車や電気自動車を続々と導入しているのです。
そして、SUVの電動化という点では、昨今の世界的なSUVブームがあり、必然的に『SUV×電動パワートレイン』のモデルが多く登場しています」
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電気自動車、プラグインハイブリッド車のどちらを選択するかについては、各メーカーの方針により異なります。
例えば、トヨタは世界のどの市場でもハイブリッド車を多くラインナップしていることや、プリウスPHVのノウハウを活かして、新型RAV4 PHVを日本で発売。今後、2020年夏以降に北米、2021年に欧州に投入予定です。
さらに、一部では「トヨタは電気自動車が遅れている」といわれていますが、上記のハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、そして燃料電池車の技術があれば、電気自動車の開発や投入は困難では無く、2020年後半には2人乗りの超小型電気自動車を投入予定だといいます。
一方の日産は、2010年に発売したリーフの電気自動車のノウハウを活かして、2016年にe-POWER車、そして今回は新型アリアを発表するなど、従来のハイブリッド車とは違うe-POWERや電気自動車に力を入れているのです。
アリアの写真に「日産の電気自動車第二弾」とありますが、嘘はダメです。日産は過去にプレーリージョイEV、ルネッサEV(アメリカ名:アルトラEV)、ハイパーミニ等、複数の電気自動車をリースや市販済です。量産モデルということならリーフに続く第二弾で合ってますが。