時代が変わっても残るスポーツカー かつての販売戦略と異なるワケとは

かつて多くのラインナップが存在した国産スポーツカーは、時代の流れとともに徐々に姿を消していきました。現在では、復活組や新規組のスポーツカーが出てくるなど、スポーツカーが復権しているようにも見えます。しかし、昔と現在ではその販売戦略が大きく異なっているようですが、どのような違いがあるのでしょうか。

90年代の国産スポーツカーブームから復活した名車達

 かつて1980年代から1990年代には、国産自動車メーカー各社からさまざまなスポーツカーが発売され、いまでも世界中にファンが存在するほど愛されています。しかし、時代の変化により環境性能が重視されるにつれて、スポーツカーは徐々に姿を消していくのです。

 では、現在販売されているスポーツカーにはどのようなモデルが残っているのでしょうか。

一度、姿を消しつつも復活を遂げたトヨタ「スープラ(左)」と日産「GT-R(右)」
一度、姿を消しつつも復活を遂げたトヨタ「スープラ(左)」と日産「GT-R(右)」

 スポーツカーの定義はさまざまであるものの、2020年6月現在、各社のホームページ上で「スポーツカー」や「スポーツ」としてカテゴライズされているモデルは、トヨタ(GRブランド含む)が「コペンGRスポーツ」、「86」、「GRスープラ」など、ホンダは「S660」、「シビックタイプR」、「NSX」、日産は「フェアレディZ」、「GT-R」となっています。

 スバルは「BRZ」、マツダが「ロードスター」、ダイハツは「コペンGRスポーツ」、スズキが「アルトワークス」、「スイフトスポーツ」がラインナップされています。

 このなかで特筆すべきはコペンGRスポーツで、ダイハツが開発・製造をおこない、トヨタではGRブランドとして販売する特殊な販売形態となってます(ダイハツの販売店でも購入可能)。

 また、同じトヨタのスープラはBMW「Z4」、86はスバルのBRZとプラットフォームを共有する兄弟車となるなど、かつて各社が独自開発していた時代と大きく異るのです。

 さらには、GT-RやNSX、スープラ、アルトワークスなどの、かつて販売されていて、一度市場から姿を消したにも関わらず、復活したモデルも存在します。

 なぜスポーツカーの販売形態が変わりつつあるのでしょうか。自動車メーカーの担当者は次のように話します。

「かつてのスポーツカーにはいくつか種類がありました。ひとつは、スポーツカーとして開発されたモデルで、例としてはマツダのロードスターが挙げられます。

 もうひとつは、ベースとなるセダンやクーペモデルに加えてスポーツ性を高めたモデルをラインナップすること、例として日産『スカイラインGT-R』が挙げられます。

 また、いまでは少なくなりましたが、普通の乗用モデル(スポーティグレード)を仕立てるタイプもありました。これは、日産『シルビア』やトヨタ『マークII』が当てはまるかもしれません。

 当時の若者にはスポーツカーやスポーティモデルが人気だったこともあり、さまざまな形でスポーツ走行を楽しむ人が多くいたこともあり、多用なモデルが発売されたのです。

 しかし、2002年の排出ガス規制により多くの国産スポーツカーが生産終了を余儀なくされたことや、時代の変化によりお金をクルマに掛ける人も減少しました。

 その結果、かつてほどスポーツカーやスポーティカーに需要が無くなっていき、各社のスポーツカーラインナップは減少します。

 しかし、自動車メーカーとしては販売に繋がる車種は別に作りながらも、クルマ好きの想いに応えるクルマは看板モデルとして必要です。

 さらに、日本では販売が低迷しても海外ではそれなりに売れることもあるので、自社のみでは開発コストが掛かるため、メーカー間で協力することで各自動車メーカーはいくつかの車種を復活させたほか、新型スポーツカーを登場させました」

※ ※ ※

 現在、ラインナップするスポーツカーはかつてほど手軽に購入出来る価格帯では無くなり、日本では多くの台数を販売することはありません。

 しかし、前述のように海外ではスポーツカー需要が高い地域もあるといい、例としてフェアレディZは北米市場で高い人気を誇っているようです。

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