今に続くSUV人気はこの車が作り出した!? トヨタ「ハリアー」が変えた世界のSUV事情とは

2020年4月13日にフルモデルチェンジ、4代目として登場したトヨタ「ハリアー」。およそ30年前、ハリアーはレクサス「RX」として北米市場で発売されるやいなや大ヒット。プレミアムSUVというジャンルの先駆者となり、今に続くSUV人気をつくったという。

プレミアムSUVの先駆けとなったレクサスRX

 スタイリッシュなルックスと質感の高いインテリアに加え、乗用車と遜色ない乗り心地の良さを備えたプレミアムSUV。今となっては、ごく当たり前の存在として人気を集めるジャンルだ。

 しかし、そうしたプレミアムSUVが広く世間に広まったのは、それほど古い話ではない。ほんの20数年前といっていいだろう。そして、そのプレミアムSUVの普及に大きく貢献したのが、レクサス「RX」(日本名・ハリアー)であった。

1998年に北米で発売された初代レクサス「RX」
1998年に北米で発売された初代レクサス「RX」

 初代レクサスRXが北米で発売されたのは1998年。日本では、同モデルとなるハリアーが、ひと足先の1997年にデビューを果たす。

 ハリアーの最大の特徴は、乗用車と同じモノコック構造であることだ。

 それ以前のSUVといえば、フレーム構造でオフロード性能を重視するクロカン的なモデルが主流であった。しかし、トヨタは1994年に発表した初代「RAV4」で、その常識を覆す。

 モノコック構造を採用したRAV4は、クロカン的SUVとは次元の異なる快適な乗り心地と軽快な走りでヒット作となる。

 そのコンセプトをさらに進め、SUVでありながらも、高級車と同等の基本性能を備えたモデルを生み出す。それが「高級サルーンの基本性能を備えたラグジュアリーSUV」であるハリアーであったのだ。

 ハリアーの登場は、当時としては非常な驚きでもあった。「SUVなのに街乗り中心なんておかしい」「軟弱だ」という意見もあったが、それよりも「格好良い」「室内が広くて使いやすい」、そして「プレミアム感が素敵」という声の方が圧倒的であったのだ。もちろん日本国内でもヒット作となる。

 そしてハリアーは、レクサスRXの名前で北米市場に投入される。そして、そのコンセプトは、当時、40代を迎えていた北米のベビーブーマー世代に大いに受けた。とくに富裕層の女性にも人気となり、1999年には目標の3倍に相当する8万台近い販売を記録。北米レクサスのベストセラーカーとなったのだ。

 RXの大ヒットもあり、レクサスは2000年にはアメリカでもっとも売れているプレミアムブランドにまで成長。1か月で2万台以上販売する最初の輸入プレミアムブランドにもなった。

 ちなみに、当時の北米市場で、プレミアムSUVとしてライバルとなったのはメルセデス・ベンツ「Mクラス」だった。

 しかし、Mクラスは北米生産となっており、欧州生産の他モデルよりも品質面で難があり、人気はいまひとつ。「レンジローバー」やジープ「チェロキー」は、1998年の時点ではモデル末期。リンカーン「ナビゲーター」が1998年に大ヒットを飛ばすが、そちらはフルサイズSUVであり、ミドルクラスのレクサスRXとはクラス違い。

 つまり、プレミアムSUVの注目が高まりつつも、強力なライバルはまだいないという、良いタイミングでレクサスRXは北米デビューを飾ることができたのだ。

レクサスRXのヒットの後、プレミアムSUVのライバルたちが、当時世界一だった北米市場をターゲットにして続々と登場する。

 最初に登場するのが2000年のBMW「X5」。続いて、2001年にジープ「リバティ」(チェロキーの後継)とホンダ「CR-V」。2002年にはポルシェ「カイエン」とVW「トゥアレグ」。第3世代目のレンジローバーも2002年に誕生している。

 レクサスRXの登場後、一気に北米市場にはミドルクラスのプレミアムSUVが溢れることになったのだ。

 そして2003年にレクサスRX(ハリアー)は、フルモデルチェンジを実施して2代目に進化。レクサスRXの北米での好調な販売を受け、同年からはカナダ(TMMC)での現地生産も開始されている。

 2005年にはハイブリッドモデルも追加。プレミアムSUVのハイブリッドも、レクサスRX(ハリアー)が先鞭を取った形だ。

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