車の整備が2020年4月から複雑化? 整備費の高額化招く「エーミング」とは

「特定整備」は自動運転時代にも重要な制度

 最後にもう1点、特定整備と自動運転の関係についてです。特定整備の導入を含めて、国は2019年5月24日、道路運送車両法の一部を改正する法律を施行しました。

特定整備は今後の自動運転にも関わる問題(写真はイメージ)
特定整備は今後の自動運転にも関わる問題(写真はイメージ)

 法改正の主な目的は、レベル3と呼ばれる自動運転を公道で可能とすることです。

 当初、2020年夏の東京オリンピック・パラリンピック(東京2020)開催に合わせて東京・お台場などを“未来のクルマのショーケース”とすることをきっかけに、レベル3の自動運転の社会導入を世界に先駆けておこなうというシナリオでした。

 東京2020の1年程度の延期が決まったことで、自動運転実証試験などでは軌道修正が余儀なくされますが、ホンダが2020年夏に渋滞時のレベル3対応の量産車を発売するなどの動きは進みます。

 特定整備では、自動運転レベル3以上への対応として、「自動運行装置」に影響を及ぼす整備や改造についても規定しています。

 レベル3では、運転の主体は自動車のシステムに移りますが、状況によってドライバー自身が運転しなければならない場合があります。

 こうした、システムと人が運転を切り替えで生じる、運転の責任を明確にするため、「自動運行装置」でもデータの保存が必要となります。

 特定整備は、こうした自動車の大きな技術変革期で必要不可欠な制度だといえます。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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