クルマの屋根にはいくつも種類があった!? 珍しいルーフ5選
普段はあまり意識しませんが、クルマの屋根にはいろいろな形態が存在し、これまでにもユニークな屋根が開発されてきました。そこで、珍しい屋根を5つピックアップして紹介します。
開放感への飽くなき追求で生まれたルーフ形態
ガソリンエンジンで走るクルマが発明されてから、130年以上が経過しました。発明された当初のクルマは馬車の延長上にあり、屋根もドアもありませんでした。
そこからクルマが進化するにつれてドアや屋根が付き、空調機器も装備されるなど、車内はどんどん快適になり、現在に至ります。
そして、クルマが快適な乗り物になると、次は開放感やスピード感を味わうために、さまざまな屋根が開発されました。
そこで、これまで登場したユニークな屋根を5つピックアップして紹介します。
●タルガトップ
通称「タルガトップ」と呼ばれる屋根は、Bピラーを残したまま前席上部のルーフパネルを脱着式にしたもので、開放感はフルオープンには劣りますが、フルオープンよりも車体剛性に優れ、仮に事故などで横転しても乗員が守られるという利点があります。
これまで、多くのスポーツカーに設定されましたが、始まりは1965年発売の初代ポルシェ911でした。
タルガという名称はイタリアのシチリア島でおこなわれていた公道自動車レース「タルガフローリオ耐久レース」に優勝したポルシェが、Bピラーを残す形状のコンバーチブルを「911タルガ」と名付けたことから始まっています。
ポルシェでは911タルガの他に「914」もタルガトップで、「ヨタハチ」の愛称でよばれるトヨタ「スポーツ800」、フィアット「X1/9」など昭和の頃は日本でも多く見かけました。
近年ではトヨタ「スープラエアロトップ」、ホンダ「CR-Xデルソル」、同「NSX タイプT」、現行車ではホンダ「S660」があります。
●ガラストップ
「ガラストップ(グラストップとも)」と呼ばれる屋根は、青空や星空が見えて開放感が楽しめるガラス製のルーフパネルを持ったクルマです。
屋根の一部が開くサンルーフにもガラスを用いたものがありますが、日本では1987年発売の2代目ホンダ「CR-X」に、サンルーフより面積が広くて開放感がある「グラストップ」が採用されました。
また、同社の「エアウェイブ」には前席頭上から後席まで広がる「スカイルーフ」が設定されており、ガラストップがアピールポイントになっていたほどです。
またポルシェ「911」シリーズで、最後の空冷エンジン搭載モデルの「993型」には、電動でスライドするガラストップ装着車「911タルガ」が1996年に追加されました。これは、ソフトトップよりも耐候性や遮音性に優れていながら、手軽に開放感が味わえる機構です。
もともと、クルマのルーフパネルはシャシ剛性にあまり寄与しておらず、ほかの素材に置換しても大丈夫ということで、ガラストップが開発されました。
なお、初期のガラストップは使用年数が経過すると、雨漏りがあったようです。
●Tバールーフ
「Tバールーフ」は、脱着式ルーフパネルを外した際に屋根の中央部分だけが残り、アルファベットの「T」のような形状に見えることから名付けられました。
Tバールーフの場合、屋根の一部が残ることで最低限の補強だけでボディ剛性が確保でき、開発費や製造コスト、車重の増加が抑えられる点や、取り外したルーフパネルの収納場所も小さくて済むというメリットがあります。
そのため、ルーフパネルの面積が小さく、スライディングルーフの装着に難があるクーペタイプなどに多く採用されました。
普及が始まったのはアメリカ車で、シボレー「カマロ」などに1970年代から採用され、フルオープンよりも安全という観点から広まっていきました。
国内での代表車種は1980年に2代目日産「フェアレディZ」に日本車として初めて採用されて、高い人気となっただけでなく、北米向け輸出車両の多くはTバールーフ仕様でした。
さらに、初代トヨタ「MR2」に1986年のマイナーチェンジでTバールーフ仕様が追加されたため、次第に日本でも珍しいものではなくなりました。
しかし、その後Tバールーフは初代マツダ「ロードスター」から始まった、ソフトトップオープンの流行により減少。現行車種で採用しているモデルはありません。
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